● ANNニュース
先日の株式市場への政府介入。
そして今度は、連日にわたる為替レートの意図的な操作。
中国の黄昏が始まってきているように思えてならない。
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NHKニュース 8月11日 12時59分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150811/k10010185931000.html
中国 人民元の基準値を大幅引き下げ
中国の中央銀行、中国人民銀行は、11日、通貨・人民元の取り引きの目安として定めている「基準値」を、前日よりドルに対して2%近く切り下げたと発表しました。
中国の通貨・人民元の為替レートは、中国人民銀行が取り引きの目安として日ごとに「基準値」を定め、その値から上下2%以内に変動を抑えることにしています。
中国人民銀行は、11日の基準値を1ドル6.2298人民元と定め、10日の1ドル6.1162人民元から1.8%余り切り下げたと発表しました。
人民元の為替レートのドルに対する基準値が、前の営業日に比べて2%近くの大幅な切り下げとなるのは異例のことです。
また、中国人民銀行は基準値の計算の方法についても、11日からドルに対するレートの前日の終値を参考にすると発表し、より実勢のレートを考慮する姿勢を強調しました。
一連の対応について中国人民銀行は、
「為替レートによる調節機能をこれまで以上に発揮できるようにした」
と説明しています。
中国経済を巡っては、最新の統計で輸出と輸入が、ともに去年の同じ時期を下回るなど先行きの不透明感が増していて、中国政府としては円やユーロなどに対して値上がり傾向にあった人民元を切り下げることで、国内の製造業を支援し景気の下支えを図るねらいもあるとみられます。
■アジア通貨も売りの展開
中国の通貨、人民元の基準値が切り下げられたことを受けて、中国への輸出額が大きい韓国や台湾を中心にアジアの通貨が軒並み売られる展開となっています。
このうち日本時間の午後3時の段階で、韓国のウォンがドルに対し、10日からおよそ1.8%下落したほか、台湾では台湾ドルがおよそ1%、タイのタイバーツも0.8%、それぞれ値下がりしています。
また、シンガポールでも、10日発表された4月から6月までのGDPの伸び率が1.8%と、前の四半期から大幅に減速したこともあってシンガポールドルが売られ、前日に比べて1.4%値を下げています。
専門家は、
「韓国や台湾などは中国経済とほぼ一体化しており、
中国経済と関係が深い国や地域を中心に、アジアの通貨はしばらくの間、売りの圧力がかかるのはないか」
と分析しています。
■上海外為市場 2年11か月ぶりの人民元安
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が11日、通貨・人民元の取り引きの目安として定めている「基準値」を、ドルに対して2%近く切り下げたことを受けて、上海の外国為替市場では、人民元を売る動きが広がり、終値が1ドル=6.3231人民元と、2012年9月以来、およそ2年11か月ぶりの人民元安の水準となりました。
中国人民銀行は、基準値の計算方法について、11日から、ドルに対するレートの前日の終値を参考にするとしていて、市場では、12日以降の基準値についても注目が集まっています。
市場関係者は、
「中国経済の減速傾向が鮮明になるなか、今回の切り下げを受けて、短期的には人民元安が進むのではないか」
と話しています。
■「突然の切り下げで市場に驚き」
中国の中央銀行、中国人民銀行が通貨・人民元の「基準値」をドルに対して2%近く切り下げたことについて、
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは
「中国は、人民元の切り下げで輸出をてこ入れし景気を刺激するとともに、物価の上昇にもつなげたいというねらいがあるとみている。
景気減速が続くなか再び政策金利を引き下げるのではないかという見方はあったが、この時期に、突然、基準値の切り下げに踏み切ったことは、市場には驚きを持って受け止められた」
と話しています。
一方、野村証券の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは、
「基準値の切り下げは、人民元を市場の実情に合わせるための動きで、通貨制度の自由化に向けた動きだと受け止めている。
市場には今後も人民元の切り下げを続けるのではないかという見方も出ているが、人民元安に誘導する政策と受け止められれば、これまで人民元のレートが低く抑えられていると指摘し続けてきたアメリカからの批判が強まることが予想される」
と話しています。
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サーチナニュース 2015-08-12 11:25
http://news.searchina.net/id/1584914?page=1
人民元が圧力になっていた!?
「切り下げ」で中国の輸出は救われる?=中国メディア
中国人民銀行が11日に人民元の対ドル基準値(中間値)を元安・ドル高の1ドル=6.2298元と決め、人民元の事実上の切り下げを行うと発表したことについて、中国メディアのFX168は
「人民元の切り下げは中国の輸出を救うことになるのか」
と論じる記事を掲載した。
記事は、中国人民銀行の発表を受け、人民元は1日の下げ幅としては過去最大の急落を見せたことを紹介。
さらに、中国人民銀行の報道官が
「人民元の実質実効レートはほかの通貨に比べて高く、特に新興国の通貨が米ドルに比べて下落しているなかで、人民元が下落しなかったことで中国の輸出には圧力となっていた」
と述べたことを紹介した。
続けて、中国がこのほど発表した貿易統計が「予想より大幅に悪かった」と伝え、輸出入ともに前年比で8%以上も減少したうえ、製造業購買担当者景気指数(PMI)も予想を下回ったことで
「経済成長の減速圧力は大きい」
と論じた。
一方で記事は、人民元の切り下げは輸出を救えるのだろうかと疑問を投げかけ、一部の分析を引用し、
「マレーシアやインドネシア、タイの事例では効果は挙げられていない」
と紹介。
2015年上半期において、マレーシアのリンギットやインドネシアのルピア、タイのバーツはドルに対して大きく下落しているものの、それぞれの国では輸出は前年比ベースで減少したと紹介した。
また、フランスの金融機関ソシエテ・ジェネラルのエコノミストの発言として、欧米の内需回復に持続性が見えないなか、人民元安だけで輸出を増やすことは難しいと伝え、英国のスタンダードチャータード銀行のストラテジストからも
「人民元がわずかに下落した程度では、
中国の輸出に対する影響も限定的」
との指摘があったことを紹介した。
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サーチナニュース 2015/08/12(水) 11:04
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0812&f=business_0812_019.shtml
人民元の切り下げ
・・・「世界にデフレ圧力」の声も=中国メディア
中国人民銀行(中央銀行)が11日、人民元の対ドル基準値(中間値)を元安・ドル高の1ドル=6.2298元と決め、人民元の事実上の切り下げを行うとしたことについて、中国メディアの匯通網は「中国は世界最大の貿易国であり、世界の金融および政治に盛況をもたらす可能性が高い」と論じた。
記事は、中国人民銀行が人民元の切り下げを行ったことに対し、
「輸出が低迷し、経済成長率も鈍化しているタイミングでの切り下げ」
と伝え、中国海関(税関)がこのほど発表した7月の輸出が前年比8.3%減となっていたことを紹介し、
「人民元安は中国の輸出製品の国外における競争力を高めるだろう」
と論じた。
続けて、中国の習近平国家主席が9月末に訪米し、米国のオバマ大統領と会談を行う予定であると伝え、
「オバマ大統領との会談前の中国の動きは米中関係を緊張させるもの」
との見方があると伝えた。
また、人民元が国際通貨基金(IMF)の国際準備資産SDR(特別引出権)の通貨バスケットに採用されるかどうかという点についても「今後の見通しが複雑なものになった」と伝えた。
さらに、中国人民銀行が人民元の切り下げを断行したことで
「中国政府が人民元の市場化を推進するとの約束を守るかどうか疑念が生じた」
と論じた。
そのほか記事は、人民元切り下げの影響について、投資顧問会社「アライアンス・バーンスタイン」の関係者が「世界にデフレ圧力をもたらすもの」と指摘したことを伝え、世界各国と貿易を行っている中国の通貨が切り下げられることは
「原油安と同様に大きな影響がある」
と述べたと紹介。
また日本企業に対する影響について、日本の証券会社のアナリストからは
「日本企業の中国にある子会社の売上高を円建てで計算した場合は減少する」
とし、特に自動車関連企業および商社に対する影響は大きいとしながらも、
「影響そのものは利益全体に対して1%にも満たない程度」
との声があると伝えた。
また、韓国のアナリストからは
「人民元安は中国の輸出にとって有利となり、中国企業と競合関係にある韓国メーカーにとっては不利な状況」
との指摘があることを紹介。
また、人民元の切り下げは
「中国経済が堅調ではないとの疑念を抱かせるもの」
とし、輸出の4分の1を中国に依存する韓国では中国の経済成長鈍化に非常に敏感になっていると報じた。
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ロイター 2015年 08月 12日 12:13 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/08/12/column-forexforum-hirokishimazu-idJPKCN0QH04520150812?sp=true
コラム:人民元安は日本経済に逆風か追い風か=嶋津洋樹氏
嶋津洋樹SMBC日興証券 シニア債券エコノミスト
[東京 12日] - 人民元は、中国が2005年7月に外国為替制度の改革を発表して以降、リーマンショックの前後を例外とすれば、ほぼ一貫して対ドル相場を切り上げてきた。
だからこそ、中国人民銀行(中央銀行)が11日に人民元の対ドル中心レートを前日比で1.9%引き下げたことは驚きを持って受け入れられた。
★.それは中国が通貨安競争に参加することを意味し、
競合する国では輸出の停滞を通じて、景気の下振れリスクが増幅するからだという。
こうした見方があるからこそ、日本を含む世界の株式市場は、中国の景気テコ入れ本格化を好感した10日の欧米市場の流れに乗れず、一転して下落へ転じたのだろう。
もっとも、上記の見方は次の2つのプラス面を見逃している。
まず、通貨安には基本的に対外的な競争力の回復や為替差益の拡大を通じて、景気を押し上げる効果がある。
例えば、アベノミクスが始まって以降の通貨安は、多くの批判的な意見にもかかわらず、輸出企業の収益やインバウンド消費(訪日外国人観光客による消費)などを通じて国内経済に恩恵をもたらしている。
次に、今や世界第2位の規模を誇る中国の景気回復は、世界景気にとって追い風にこそなれ、逆風になるとは思えない。
中国の輸出品には当然、日本製の部品なども使われているはずである。
また、中国景気の回復はそれが当初、輸出主導であったとしても、徐々に内需へも波及する可能性が高い。
中国が国内のすべての需要を自国だけで賄えるわけではない以上、同国の景気回復は日本のみならず、アジアや欧州、米国などで輸出を増加させるはずである。
中国の海外旅行ブームは、すでに短期的な景気に左右されないほどの盛り上がりになっていると考えられるが、雇用・所得の環境改善はそうした盛り上がりを一段と後押しするだろう。
■<減殺されていた金融緩和効果>
今回の切り下げには、金融政策の自由度を確保する狙いもあると思われる。
というのも、中国の資本フローは2014年後半以降、流出が目立ち、同時に外貨準備も減少しているからだ。
中国は人民元を事実上、厳格に管理しているため、そうした資本の流出は中国人民銀行に自国通貨買い・外国通貨売り(この場合は主に人民元買い・ドル売り)での対応を迫る。
それは国内での人民元不足を通じて、金融引き締めの効果をもたらすと考えられる。
中国人民銀行は2014年後半以降、貸出金利などの引き下げに踏み切っていたが、その効果の少なくとも一部は、従来の外国為替制度の下で減殺されていた可能性が高い。
こうした筆者の考え方は、
「外国為替相場の安定」
「資本移動の自由」
「金融政策の自律性」
という3つの政策目標は同時に満たすことはできないという「不整合な三角形」あるいは「国際金融のトリレンマ」からも説明できる。
つまり、中国は従来、資本移動を大幅に制限することで、「外国為替相場の安定」と「金融政策の自律性」を確保していた。
しかし、金融市場の自由化などを進めるなかで、資本移動の制限を維持することが困難となり、それが金融政策を国内経済の回復に割り当てることも難しくしていた。
そのことが、株式相場の下落を受けた規制の強化とその後の金融市場の反応で、一段と明らかになったと考えられる。
中国政府の今回の人民元をめぐる決断は、一段の景気減速を回避するために
★.「外国為替相場の安定」の一部を放棄することで、「金融政策の自律性」を優先した
と言うこともできる。
■<高まった中国景気回復の可能性>
実際、中国人民銀行は今回、通貨の切り下げとともにその算出方法の変更も発表し、声明文では市場を重視する方針を強調している。
中国人民銀行のスポークスマンが、新興国が直面する通貨下落の圧力や、国際的な資本フローの変動に言及したことも併せて考えると、中国政府が今回、「不整合な三角形」を意識して一連の政策変更に踏み切ったことは想像に難くない。
当然、外国為替市場における今回の変更は、中国人民銀行がこれまで実施してきた金融緩和策の効果を高めることが期待されているだろう。
なお、
★.中国人民銀行の政策金利は主要貸出金利(1年)で4.85%、預金金利(1年)でも2%と、
日米欧の主要な中央銀行とは異なり、大幅なプラス圏にある。
今回の一連の措置が、足元で落ち着きつつある中国からの資金流出を大幅に加速させないことが明らかになれば、中国人民銀行は金融政策を今まで以上に国内景気の安定のために割り当てることができる。
それは、すでに報じられている景気対策と組み合わせることによって、景気回復を確かなものにするだろう。
中国政府が景気のテコ入れに今まで以上に真剣になったことだけでなく、次の一手も視野に入れていることを示すと思われる。
筆者は中国景気の先行きについて、中長期的には課題が多く、決して楽観しているわけではない。
しかし、少なくとも短期的にはこれまでの政策が奏功することで回復へ向かう可能性が大幅に高まったと考えている。
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントを経て2010年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネージャーとして、日米欧の経済、金融市場の分析に携わる。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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サーチナニュース 2015-08-12 15:25
http://news.searchina.net/id/1584963?page=1
なぜ人民元を切り下げた?
・・・「輸出促進でも経済疲弊でもない」と政府系専門家見解
中国人民銀行が11日、12日と2日連続で人民元を事実上、切り下げたことに対し、中国メディアの百度百家は12日、中国社会科学院金融研究所の易憲容研究員による手記を掲載し、中国が人民元を切り下げたのは
「輸出の促進が目的ではなく、
ましてや中国経済が疲弊しているためでもない」
と論じた。
記事は、中国人民銀行が11日に人民元の対ドル基準値(中間値)を引き下げると発表したことで、人民元が過去最大の下げ幅を記録したことを紹介し、
「突然の急落は世界を驚かせ、世界の為替は大きく変動し、特に原油価格は一気に5%近くも急落した」
と紹介した。
続けて、人民元はいまだ自由化されておらず、中国の金融市場も完全に開放されてはいないとしながらも、人民元の切り下げが世界に大きな影響を与えたことについて、
「中国経済の世界市場における地位が上昇したことが見て取れる」
と主張。
中国の一挙手一投足が世界に大きな影響を与えるようになったと喜びを示した。
さらに、人民元の切り下げについては「市場は準備をしておくべきだった」と主張、中国国務院が以前に人民元の為替改革について言及し、
「人民元レートの変動幅を拡大することで、市場化改革を加速させることを明確に示していた」
と主張した。
また、中国が人民元を切り下げたのは
「多くの人が理解しているような輸出の促進が目的ではなく、ましてや中国経済が疲弊しているためでもない」
とし、人民元を下落させることで為替の変動幅に弾力性をもたせ、人民元の価格形成のメカニズムを改善するためであると主張した。
続けて記事は、人民元が国際通貨基金(IMF)の国際準備資産SDR(特別引出権)の通貨バスケットに採用されるか否かのタイミングで、中国が切り下げを行ったのは「国内外の経済環境の変化を考慮してのこと」と主張。
★.中国株式市場における大規模な実験は「失敗に終わった」と伝え、
★.中国は金融市場の改革の道筋を変えようとしているとし、
「改革の新たな突破口こそ為替制度なのだ」
と主張した。
さらに、中国の金融市場の改革における新たな突破口が
「良い成果を収められるようであれば改革を深化させるであろうし、危険を伴うようであれば為替を通じた改革も限定的にとどまるであろう」
と論じた。
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毎日新聞 8月12日(水)22時23分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150812-00000097-mai-bus_all
<中国>人民元、連日切り下げ…市場の動揺拡大
中国が人民元を
2日連続で大幅に切り下げた
ことで、世界に「中国ショック」が広がった。
中国人民銀行(中央銀行)は12日、人民元の対ドル基準値を前日比で約1.6%安い水準に設定したと発表。
中国経済の減速懸念の高まりを受け、東京株式市場の日経平均株価は、一時400円を超す下げ幅となり、外国為替市場では円や新興国の通貨が軒並み売られた。
中国への輸出比率の高いブラジルなど新興国は大きな打撃を受ける可能性があり、事実上のゼロ金利政策からの「出口」を模索する米国の利上げの時期にも影響しそうだ。
中国の人民元切り下げは、元安に誘導することで輸出を増やす狙いがある。
日本にとっては、人民元に対し円高になるため、中国への輸出が減る可能性が出てくる。
このため、12日の日経平均株価の終値は、前日比327円98銭安の2万392円77銭と大幅に下落。
中国での売上高が多い鉄鋼や建設機械、訪日中国人客の「爆買い」の恩恵を受ける小売りなどの銘柄の下げが目立った。
香港やシンガポール、インドネシア市場の株価も軒並み2%超下落。
新興国だけでなく、米国やドイツ、フランスなど欧米の株式市場も大幅に下落した。
人民元の切り下げで貿易相手国の交易条件が悪化するため、為替市場では、中国と関係の深い新興国の通貨を売ってドルを買う動きが広がった。
東京外国為替市場では一時、1ドル=125円28銭まで円が下落し、約2カ月ぶりの円安水準となった。
マレーシア通貨のリンギットは一時、1ドル=4リンギット台をつけ、約17年ぶりの安値水準になった。
ベトナムは中国の人民元切り下げに対処するため、通貨ドンの対ドル変動幅を拡大、実質的な切り下げに踏み切った。
一方、マレーシアやインドでは当局が自国通貨買いの為替介入で相場を下支えしているとの観測が浮上。
「各国がそれぞれ自国に有利になるように通貨政策を実施し始めた」(みずほ証券の金岡直一FXストラテジスト)
とみられる。
中国経済の減速を背景に原油などの資源価格も軒並み下落しており、ブラジルなどの資源国は既に大きな影響を受けている。
そこに人民元の切り下げが加われば、資源国はさらに大きな打撃を受けかねない。
一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利上げに踏み切るとの観測もある。
もしFRBが利上げを実施すれば、金利の高い新興国で運用されていた投資家のお金は米国などに逆流する可能性がある。
投資家は中国経済の減速などを受けてリスクを回避する姿勢を強めており、みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは
「新興国は『資源安』『人民元切り下げ』『米利上げ』の三重苦に陥っている」
と指摘した。
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『
朝日新聞デジタル 8月13日(木)5時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150813-00000010-asahi-bus_all
焦る中国、
景気減速あらわ 人民元、連日の切り下げ
●中国経済は減速している
深刻な景気減速に背を押され、中国が連日の人民元切り下げに動いた。
相次ぐ景気浮揚策でも上向かない景気に対する当局の焦りがのぞく。
長年、人民元の切り上げを注文してきた米国は状況を注視する構えだが、先行き次第では年内とされる利上げの時期に影響する恐れもある。
中国人民銀行が発表する人民元の基準値は11日からの2日間で約3・5%も元安ドル高に進んだ。
基準値は毎朝発表され、一日の市場での取引はこの上下2%の範囲内で変動が許される。
これまでは主要銀行からの市況に関する報告などに基づいて決めていたが、11日からは「前日の市場での終値を参考にする」とした。
これで市場レートがより反映されやすくなった。
人民銀は12日、
「制度変更後は一定の調整時間が必要だが、基準値の変動は徐々に収まるだろう」
として、元安が加速することは否定した。
ただ、市場では12日も、基準値より元が値下がりして取引が続いた。
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レコードチャイナ 配信日時:2015年8月15日(土) 8時5分
http://www.recordchina.co.jp/a116404.html
「中国株暴落」騒動、予想以上の経済悪化示す
7月に北京に取材に出かけた。ちょうど私の北京滞在中の8日には一時、前日終値から8%あまり下落。
終値は5.9%安の3507.19と暴落し、中国経済に冷水を浴びせかけた格好だ。
急いで、市中心部の証券会社に行ってみたら、客でごった返しており、口々に「アイヤー。どうしたんだ。これで大損だ」と叫んでいた。
しかし、次の日再び同じ証券会社を訪ねたが、大幅な下落が影響したのか、ほとんど客はいなかった。
上海株式総合指数は何とこの1年間で2.5倍もの上昇を記録していたが、上海、深セン両証券取引所合計の株式時価総額は株価ピークの6月12日から比べると日本円換算でおよそ450兆円も激減。中国の国内総生産(GDP、昨年)のほぼ3分の1が消滅したことになる。
このため、中国政府の金融当局の対応はまさになりふり構わぬものだった。
追加利下げ、取引手数料の引き下げ、年金基金による株式への投資上限引き上げ、信用取引の規制緩和、信用取引の追証規定の廃止、新規株式公開(IPO)の停止、適格外国機関投資家(QFII)の投資枠拡大、持ち株比率5%以上の大株主や企業役員の持ち株売却を6カ月禁止、政府系ファンドや証券会社を動員しての買い支え、さらには警察による 「悪質な空売り」の捜査など、何でもありだった。
何より、上海・深セン両市場の上場銘柄の71%に当たる1300以上の銘柄を取引停止にしたことは、世界の市場関係者を驚愕させた。
金融当局がそこまでしたのは、株価が下げ止まらなければ、
都市部に住む約2億人といわれる投資家が動揺し、
政府の経済政策に対する批判の動きや抗議デモなどの社会不安が中国全土で拡大することが予想されたからだ。
中国共産党のイデオロギー・宣伝部門を統括する党中央直属機関の中央宣伝部が8日、
★.中国の株価急落を受けて、国内の報道機関に対して
「株式市場の問題が政治化するのを回避し、
(批判の)矛先が共産党や政府に向かうのを防げ」と指示する緊急通達を出している
ことが分かっている。
これは習近平(シー・ジンピン)指導部が株価の問題が経済政策批判や、抗議デモなどの社会不安に発展しかねないと危機感を強めていることに他ならない。
中国国家統計局は7月15日、4~6月の国内総生産(GDP)が前年同期比7%増だったと発表したが、これも株価の暴落騒動を受けて、
「市場を安心させようとした意図的な数字ではないか」
との憶測が飛び交った。
このため、国家統計局の担当者が「GDPのデータは正確で、意図的に引き上げられたことはない」と発言。
これをロイター通信社が報じたことで、市場では発表された数値への疑念が強まり、東京市場では午後にかけて中国景気に影響を受けやすい銘柄が下げ足を速めた。
このような中国の統計数字に関する疑惑が以前からささやかれていた。
とりわけGDP数値は地方政府が報告する各種の経済指標をまとめることから、中国首相の李克強(リー・カーチアン)氏自身が遼寧省トップ時代、
「信用できない。信用できるのは鉄道貨物輸送量、輸入数量、電力消費量の3つだ」
と発言するなど、この3指標は「李克強指数」と呼ばれているほどだ。
この李克強指数をみると、軒並みマイナスか、大幅な鈍化傾向にあり、まさに今回の株価暴落騒動に象徴されるように、中国経済の落ち込みは明らかだ。
例えば、2010年には前年比20%増だった工業生産額も今年に入って5~6%増と伸び悩み、中国経済の屋台骨を担う国有企業にいたっては2%程度まで落ち込んでいる。
消費も減速しており、自動車販売は4、5、6月と3カ月連続で前年比マイナスを記録。
このような経済の停滞で個人所得や貯蓄が伸び悩む一方、銀行融資は前年比15%近く増加しており、インフレ懸念が高まっている。
このようななか、中央銀行の中国人民銀行は商業銀行の預貸率の上限規定の撤廃を決めた。景気減速下で資金供給拡大を促進する狙いがあるが、この背景には外貨流入が減少し、企業収益が悪化していることがある。
中国は11、12日の2日間続けて人民元を切り下げたが、こんなところにも中国経済の悪化が如実に表れているようだ。
◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。
』
【中国の盛流と陰り】
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