『
ロイター 2015年 07月 24日 04:53 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/07/23/investing-elerian-cnbc-idJPKCN0PX2EM20150723
中国、もはや世界経済のけん引役でない=エラリアン氏
[ニューヨーク 23日 ロイター] -
独保険大手アリアンツ(ALVG.DE)の首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は、
中国はもはや世界経済のけん引役でない
が、
中国経済の減速は崩壊を示唆しない
との考えを示した。
同氏はCNBCに対し
「これが中国経済の崩壊だとは思わない。
同国はソフトランディングを制御する能力を有している」
と指摘。
「だが中国はもはや世界経済の成長エンジンではなく、
この影響は企業や商品(コモディティ)市場に及ぶ」
と話した。
その上で、中国経済の減速により、とりわけ金融の過剰などの問題が露呈しており、その点において注目していると述べた。
』
『
2015.7.24(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44377
(2015年7月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
市場の「小さな泡」を見抜けない投資家
中銀が政策を正常化し始めたら、バブルがはっきりする
効率的市場を信じる理論家のうち、時代錯誤な人たちにとっては、バブルは存在しない。
半ば新しい考え方をする人たちにとっては、バブルは存在するが、アラン・グリーンスパン元米連邦準備理事会(FRB)議長が1990年代の終わりに主張したように、
バブルは事後にしか認識できない。
バブルを事前に察知するには、何十万人もの情報に通じた投資家がひどい思い違いをしているとの判断が必要だ――。
同議長はこう断言した。
多くの人がドットコムバブルを事前に察知し、2007年の信用収縮の前に不動産バブルを特定していたことを考えると、半ば頭を切り替えた人たちの見方も徹底した効率的市場の立場とほとんど同じくらいエキセントリックに思える。
この奇妙さは、2015年が史上最も容易に察知できる2つのバブルを目撃したという事実によって、さらに鮮明に浮き彫りになっている。
■明らかにバブルだった中国株
まずは中国だ。
上海総合指数は最高値をつけた6月12日までの1年間に130%以上上昇した。
この株価急騰が起きたのは、国内総生産(GDP)成長率の予想が下方修正され、企業部門が圧迫されている時のことだった。
これは部分的には、不動産と過剰生産設備が蔓延している産業に対する過剰投資の問題だった。
中国企業は、債務負担の増大に対処する必要があるだけでなく、生産者価格の急激なデフレにも見舞われた。
このことは、当局がちょうど無秩序な信用拡大を制御しなければならなかった時に、実質金利の上昇が金融状況を引き締めたことを意味する。
膨れ上がった不動産セクターと余剰生産設備に苦しむ産業に対する銀行――株価指数の大きな構成要素――のエクスポージャー(投融資残高)は、各行の支払い能力にとって脅威となる。
さらに、相対的な生産者価格によって測られる為替レートは次第に割高になっている。
株価がファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と食い違うことがバブルの定義なのだとすれば、筆者が先月本コラムで主張したように、これはバブルの領域だった。
バリュエーション(株価評価)は無理を来していたが、市場の評価基準分析に乗り出すまでもなかった。
株価と経済の乖離傾向、歴史的に極端な水準に達した信用取引、過剰な信用拡大の背景が、状況をはっきりと物語っていた。
数十万人の情報に通した投資家に関して言うなら、中国の株式市場は個人投資家が大多数を占めており、その多くが金融界というジャングルの素人だ。
今年5月だけで1200万件の新規証券取引口座が開設された。
これらの投資家、もっと現実的には投機家たちは、奇妙な類の群集行動に携わっていた。
■一風変わった群衆行動
表向きには、中国のバブルの物語――どんなバブルにも、その中核には常に1つの物語がある――はテクノロジーに関するものだった。
だが、中国の当局が株高を助長することに勤しんでいたため、群衆行動は政府が株式市場を下支えするとの認識に基づいていた。
さらに、中国のA株がMSCI新興国株指数に組み入れられ、その結果、パッシブ運用のファンドが中国市場で株を買うことを余儀なくされると爆発的な相場高騰が起きるとの期待もあった。
結局は、MSCI指数への組み入れは実現しなかった。
だが、上海総合指数が直近のピークから安値まで35%下落した後、当局は株価を下支えするために必死になっている。
ここから先は、中国株に対する投資は、
ごくわずかな信頼にしがみつこうとしてバブルのバリュエーションを持続させる中国共産党の能力に対する賭けとなる。
■ユーロ圏国債のマイナス利回り
2つ目は、(いわゆる)リスクフリー資産のバブルである。
今年3月、ユーロ圏諸国の国債の3分の1で、名目利回りがマイナスになった。これは前代未聞だ。
マイナスの利回りは、欧州中央銀行(ECB)が国債購入を含む量的緩和に踏み切った後、担保として利用できる国債の深刻な不足を反映していた。
中国と同様だが、より直接的な形で、当局の介入が価格と基本的な現実との間に楔(くさび)を打ち込む歪みを生み出した。
投資家はこれに応じ、市場の中でもよりリスクの高い場所で利回りを得ようとした。
最近の利回り上昇の後でさえ、ユーロ圏の国債の評価基準は依然、バブリーだ。
だが、米国の最初の利上げのタイミングがはっきりすれば、利回りの追求は無価値になるだろう。
質の高い資産の利回りが上昇しているのであれば、質の低い資産の魅力は低下するからだ。
だから、中央銀行の正統主義への回帰がついに、はっきりと見えてきた時には、ジャンク級の社債市場は、投資家がいるべき場所ではない。
比喩を混同するリスクを冒して言えば、
バブル領域から撤退するためには、
投資家は金融の地雷原をうまく通り抜ける必要がある。
By John Plender
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』
『
ZUU online 2015/7/24 16:20
三尾幸吉郎 ニッセイ基礎研究所 経済研究部 上席研究員
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150724-00000020-zuuonline-nb
中国株の乱高下と今後の注目点
-「金融相場」の終了で乱高下、
今後は再び急落して長期低迷?それとも「業績相場」へ移行?
◆中国では株価が急落した。
それまでの株価急騰は企業業績が悪化する中での出来事であり、景気テコ入れ策の実施を期待した「金融相場」だったといえる。
「金融相場」が終了して、現在は個人投資家から機関投資家へと、保有者が交替(「手替わり」)する局面にあることから、相場は乱高下している。
新たな買い手となる機関投資家は景気指標を重視して投資する。
◆その景気指標を見ると、供給面では工業生産が3ヵ月連続で伸びを高めるなど3月をボトムに回復傾向にある。
需要面から見ても、6月は消費・投資・輸出の3本柱が揃って上向いており、3-4月頃をボトムに回復傾向にある。
また、その他の重要な4指標(電力消費量、貨物輸送量、生産者物価、通貨供給量)はまちまちの動きとなっており明確な傾向は見られない。
◆今後の株価動向を考えると、
株価バリュエーション(PER)や信用買い残の増減から見て上値抵抗圏は4025~4314(PERで21倍前後)の水準、下値支持圏はこれまでの値動きなどから考えて3076~3383(PERで16倍前後)の水準にあると思われる。
◆景気評価点を見ると、
3月には「景気減速」に落ち込んでいたが、6月には「やや加速」に達しており、景気は回復傾向にある。
仮に景気回復が一時的なものに終われば、株価は下値支持圏を割り込みそうだが、景気回復が持続すれば「業績相場」へ移行して、上値抵抗圏を突破する可能性もある。
従って、景気回復の持続性を見極めることが肝要となる。
◆中国経済への影響としては、
株価が4000台半ばまで反発して落ち着くようだと、プラス効果がマイナス効果を上回り、中国経済への影響はややプラスになる可能性が高いと思われる。
一方、2000台半ばへ下落して落ち着くようだと、個人消費への悪影響は避けられないだろう。
■「金融相場」の終了と機関投資家の出番
中国では株価が急落した。
上海総合は6月12日の5166.35をピークに下落に転じ、7月8日には3507.192と高値から32%の大幅な下落(終値ベース)となった。
その後は中国政府の株価対策などで値を戻し4000台を回復した。
今回の株価上昇過程を振り返ると、昨年上期には社債や理財商品のデフォルト(債務不履行)、新規株式公開(IPO)の再開に伴う需給悪化、住宅市況悪化に伴うバブル崩壊が懸念されたものの、業績悪化を相当程度織り込んだ株価水準(PERは10倍前後)だったことから下値も堅く、2000前後で小康状態となっていた。
昨年夏になると、景気がやや回復したことで信用不安が薄れるとともに、地方都市で住宅購入規制を緩和する動きが広がったことで住宅バブル崩壊に対する懸念が薄れて株価は上昇し始め、IPOで新規公開した企業の株価が堅調で公開価格の5倍超まで買われる銘柄が出現したことから需給悪化懸念が薄れるとともに徐々に上昇の勢いが増し、11月21日に中国人民銀行が利下げを発表すると一気に勢いを増した。
今年1月には信用取引に対する監視強化で株価は一旦調整、4月には中国証券監督管理委員会(証監会)が個人投資家に対して株式投資のリスクを認識するよう注意喚起したことで再調整したものの、追加金融緩和が続いたため上昇基調は崩れなかった。
一方、株価急騰とは逆に、昨年夏以降の企業利益は前年割れに落ち込んでいった。
従って、今回の株価急騰は企業業績が悪化する中での出来事であり、景気テコ入れ策の実施を期待した「金融相場」だったといえる。
その「金融相場」が終わりを告げた原因は主に3つと思われる。
第1に中国政府が株価急騰に警戒感を強め「場外配資」と呼ばれる信用取引制度外の株式投資向け融資の規制に乗り出したこと、
第2に相場急落で損失を被った投資家の自殺が報道されてセンチメントが急激に悪化したこと、
第3に住宅価格が反転するなど景気に改善の兆しが現れる中で、これまでの買い材料だった追加金融緩和への期待が萎んだことである。
そして、信用取引の買い残を抱えた投資家は、相場下落で「追証」を求められ、換金のための売りがでて、売りが売りを呼ぶ展開となった。「金融相場」が終了して直後の相場は乱高下しやすい。
信用取引などで身の丈を上回るポジションを抱えてしまった個人投資家が売り手となる一方、政府系ファンドなどの機関投資家が買い手となって、個人投資家から機関投資家へ保有者が交替(「手替わり」)する局面となるからである。
高値掴みした個人投資家は、信用期日到来を契機とした売りや、相場の戻りを捉えた売り(「やれやれ売り」)でポジションを縮小する可能性が高い。
一方、買い手となるのは政府系ファンドなどの機関投資家で、中国政府の意向に沿って一定量を買い上がりそうである。
但し、重要なのはその後である。
現在の株価水準は、株価収益率(PER)で20倍前後と適正範囲内(「フェアバリュー」)にあり、これまでの景気対策が奏功して景気が上向けば、PERの分母となる利益が増えるとの見方が優勢となり、機関投資家は購入を増やすだろう。
一方、景気が下向けば利益が減るとの見方が優勢となり、機関投資家の購入は最低限に留まり、個人投資家の売りをこなしきれない恐れもある。
そして、新たな買い手となる機関投資家は景気指標を重視して投資する。
■足元の景気指標の動き
◆工業生産
中国経済の現状を供給面から見る上で最も重要な指標は工業生産である。
6月の工業生産(実質付加価値ベース、一定規模以上)は前年同月比6.8%増と5月の同6.1%増を0.7ポイント上回った。
3月には同5.6%増に落ち込んで、景気失速懸念が浮上したが、その後は3ヵ月連続で伸びを回復、1-2月期(前年同期比6.8%増)と同水準となった。
前月比(季節調整後)で見ても伸びは回復傾向で、3月の前月比0.31%増をボトムに、4月は同0.62%増、5月は0.54%増、6月は同0.64%増となっている。
■製造業と非製造業のPMI
中国経済を供給面から見る上では製造業PMI(中国国家統計局)も重要な指標となる。
これは製造業3000社に対するアンケート調査を元に計算されるもので、通常は50%が景気強弱の分岐点とされる。
6月は50.2%と5月から横ばいだったが、1月の49.8%をボトムに緩やかだが上昇傾向にある。
一方、中国では製造業からサービス業への構造転換が進行中なため、製造業だけを見ていたのでは構造変化に翻弄される恐れがある。
そこで注目されるのが非製造業の商務活動指数(中国国家統計局)である。
製造業PMIと同様に50%が景気強弱の分岐点とされる。直近の動きを見ると、緩やかな低下傾向にあったが、6月は53.8%と5月の53.2%を上回った。
◆小売売上高
個人消費の代表指標となるのが小売売上高(社会消费品零售总额)である。
6月の小売売上高は前年同月比10.6%増と5月の同10.1%増を0.5ポイント上回った。
また、価格変動要因を除いた実質で見ても、6月は前年同月比10.6%増と5月の同10.2%増を0.4ポイント上回っている。
4月には同9.9%増に落ち込み、個人消費に失速懸念が浮上したが、その後2ヵ月連続で伸びを回復したことから、その不安はやや薄らいだ。
◆固定資産投資
投資の動向を見る上で代表的な指標となるのが固定資産投資である。
1-6月期の固定資産投資(除く農家の投資)は前年同期比11.4%増と1-3月期の同13.5%増を2.1ポイント下回った。
しかし、中国国家統計局が公表する年度累計ベースだけを見ていたのでは基調の変化を見落とす恐れがあるので、当研究所で月次の伸びを推定したところ、6月単月では前年同月比11.4%増(推定(1))と、4月単月の同7.5%増(推定)をボトムに2ヵ月連続で伸びを回復した模様である。
◆輸出金額
世界の工場といわれる中国では輸出の動向も景気を大きく左右する。
6月の輸出金額(ドルベース)は前年同月比2.8%増と4ヵ月ぶりに前年同月の水準を上回りプラスに転じた。
米国向けは前年同月比で2桁増と回復が鮮明だが、欧州向けや日本向けは6月も前年同月の水準を下回っており、
今後も回復傾向が持続するか否かは依然として不透明である。
◆電力消費量
景気動向を見る上ではその他にも重要な指標がある。
経済活動をする上で欠かせないのが電力であり、景気動向を見る上でも有効な指標となる。
李克強首相は特に工業部門の電力消費量を重視しているとされる。
直近の動きを見ると、6月の電力消費量は前年同月比1.8%増と5月の同1.6%増をわずかながらも上回った。
また、産業別に見ると、工業部門では1-6月期に前年同期比0.4%減と前年割れとなった一方、第3次産業では同8.1%増と昨年の同6.4%増を大幅に上回る伸びを示しており、産業構造が変化している様子が窺い知れる。
◆貨物輸送量
景気が良くなるとモノの動きも増えることから貨物輸送量も重要な指標となる。
貨物輸送量の4分の3を占めるのが「道路」である。
1-6月期の道路貨物輸送量は前年同期比6.2%増と1-3月期の同6.4%増をやや下回った。
また、6月単月で見ても前年同月比5.1%増と5月の同7.7%増を下回っている。
なお、李克強首相が重視しているとされる鉄道貨物輸送量は、エネルギー改革に伴って石炭の輸送量が急減しており、1-6月期は前年同期比10.1%減と1-3月期の同9.4%減からマイナス幅を拡げた。
◆生産者物価
モノの値段も景気と密接な関係がある。
生産したモノに対する需要が強ければそのモノの値段は上がり、需要が弱ければ下がるからである。
直近の生産者物価(工場出荷)の動きを見ると、6月は前年同月比▲4.8%と5月の同▲4.6%よりも下落ピッチが加速した。
ギリシャ問題の深刻化で原油安が再現したことが背景と思われる。
また、今回の生産者物価の下落は実質ベースで見た工業生産を押し上げるため、6月に工業生産(実質付加価値ベース、一定規模以上)が上向いた要因のひとつと考えられる。
◆通貨供給量(M2)
おカネが動きだすと景気も良くなることから通貨供給量(M2)も注目したい指標である。
李克強首相は銀行融資(中長期)を重視しているとされるが、銀行融資以外の動きも無視できないので、金融関係をひとつに絞るなら今のところM2が良いと思われる。
直近のM2の動きを見ると、6月は前年同月比11.8%増と4月の同10.1%増をボトムに2ヵ月連続で伸びを高めた。
しかし、15年の目標値である「12%前後」をやや下回る伸びに留まっている。
■今後の注目点
◆当面の上値抵抗圏と下値支持圏
さて、今後の株価動向を考えると、第1章で記述したとおり現在は個人投資家から機関投資家へと株式保有者が「手替わり」する局面にあり、相場の乱高下はしばらく続きそうである。
筆者のテクニカル分析をご紹介すると、株価バリュエーション(PER)や信用買い残の増減から見て上値抵抗圏は4025~4314(PERで21倍前後)の水準、下値支持圏はこれまでの値動きなどから考えて3076~3383(PERで16倍前後)の水準にあると思われる。
◆景気回復の持続性に注目!
一方、第2章で取り上げた景気指標をまとめた景気評価点(2)の領域に落ち込んでいたが、その後は徐々に上向きに転じる景気指標が増えて、6月には「やや加速」の領域に達しており、ここもとの景気は回復傾向にあると思われる。
仮にこの景気回復が一時的なものに終われば、株価は下値支持圏を割り込み、再び長期低迷への道を辿ることにもなりかねない。
一方、このまま景気回復が持続すれば、企業業績の改善から増益率が向上して「業績相場」へ移行、上値抵抗圏を突破する可能性もある。
従って、景気回復が持続的なものか否かを見極めることが肝要である。
◆中国経済への影響は相場の落ち着きどころで異なる
そして、中国経済への影響としては、株価が上値抵抗圏を突破して4000台半ばで落ち着くようだと、6月中旬にかけて急膨張した信用買い残の平均取得コスト(4025~4314)を上回る水準で安定することになり、今回の乱高下で大きな損失を出した個人投資家も多いだろうが、実現益が実現損を上回った個人投資家も少なくないだろう。
また、4000台半ばという水準は前年の2倍を超えているため、数年前から投資している個人投資家は利益を得た人の方が多いだろう。
さらに、株式保有の過半を占める一般法人の含み益は増加したと見られることから、経営体力が増した一般法人が新規事業に投資するというような波及効果も期待できる。
従って、今回の乱高下で高値掴みした個人投資家にとっては厳しい状況ではあるものの、中国経済全体への影響ではややプラスになる可能性が高いと思われる。
一方、株価が下値支持圏を割り込んで2000台半ばで落ち着くようだと、信用買い残の平均取得コストを約4割下回ることになる。
また、リーマンショック後の平均的な株価水準に戻ることになるため、数年前から投資している個人投資家や一般法人にとっても好影響はほとんど無いだろう。
従って、株式売買の8割を占める個人投資家の実現損と、それに伴う個人所得の減少だけが残ることになり、個人消費への悪影響は避けられないだろう。
(1):中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。
本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、ニッセイ基礎研究所で中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した場合には、「(推定)」と付して公表された数値と区別している。
(2):景気評価点とは、第2章で取り上げた景気10指標を3ヵ月前と比べて上向きであれば「○=1点」、下向きであれば「×=0点」として集計したもの。
計算方法については2015年3月に以下2点を改定。第1点目は輸出金額で、改定前は「前月比(季節調整後)」を使用していたが、データ公表時期が不安定になってきたことから「前年同月比(季節調整後)」に変更した。
第2点目は貨物輸送量で、改定前は「鉄道」を使用していたが、データ公表時期が不安定になってきたことやエネルギー改革の影響が大き過ぎると判断したことなどから「道路」に変更した。
以上の変更は過去に遡って実施している。
三尾幸吉郎
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 上席研究員
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年7月25日(土) 3時9分
http://www.recordchina.co.jp/a114643.html
中国で「バブルリレー」、
不動産から金融商品、株まで
=日本メディアの指摘に中国の専門家が反論―中国紙
2015年7月21日、このところ中国経済のバブル崩壊をめぐる記事が日本の各メディア紙上を賑わせている。
日本メディアは
「不動産から金融商品、さらには株に至る『バブルリレー』の行く末は、中国政府の資金調達だけではなく、中国経済の動向をも左右する」
と報じた。
中国の研究家はこれについて、
「不動産市場と株式市場のバブルは、経済バブルと同じではない。
両者の間には雲泥の差がある」
との見方を示した。
環球時報が伝えた。
北京大学経済学部の曹和平(ツァオ・ホーピン)教授によると、中国の不動産価格はこのところ、下落の一途をたどっている。
一方で、株式市場では、株価は5100まで上昇したが、前回の6000の大台を超えることはなく、今は4000以下まで落ち込んでいる。
これらの現象から、バブルとは言えない。
経済バブルとは、全業界の投資が景気を上回ることで、各分野の物価が順番に高騰することを指す。
これは、ここ数年の中国経済の特徴とは一致していない。
私は、中国の現状が1990年代の日本と同じであるという認識は持っていない。
むしろ、経済モデルチェンジのプロセスにおける資産価格の乱れが表現されたものだと考えており、バブル経済ではない。
野村資本市場研究所の関志雄(グワン・ジーシオン)シニアフェローは、
「株価の変動が中国経済に及ぼす影響は、極めて限りがある。
株価は3月下旬のレベルまで反落したが、昨年半ばと比べると、まだ80%高い。
中国政府と国有企業が、流通株の60%を保有している。
構造面から見て、株価下落の影響が、個人消費に直接影響するとは考えにくい」
とコメントした。
日本メディアは「バブル」という言葉をしきりに持ち出し、小さな経済変動でさえも、日本経済が1990年代末に経験したバブル崩壊と関連づけようとしている。
危機意識は、日本人の生活の隅々に深く行き渡った。
現在、日本の利息はゼロ金利に近いが、それでもなお、多くの日本人は、貯蓄という方法を選択する、あるいは収益率の低い国債を銀行から購入している。
日経平均株価は、2011年に起こった東日本大震災後、8200まで下がったが、今年、2万900の高値をつけ、4年間で約2.5倍上昇した。
だが、日常の取引量の50%以上は外資によるもので、一般庶民が関係している部分はごくわずかだ。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/武藤)
』
『
現代ビジネス 2015/7/27 06:02 真壁 昭夫
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150727-00044373-biz_gendai-nb
原油、金、通貨が一気に下落新興国の景気を不安定化する中国の減速、
アメリカの利上げ
■中国経済の減速が世界をかき回す
足許の金融市場では、株式、原油、金、銅等の商品、新興国や資源国の通貨が下落している。
株価の下落は、不安定な企業業績を意味するだろう。
そして、
商品市況の下落は、世界経済の低迷による需要が低下を見込んだもの
と考えられる。
世界経済を見回すと、新興国の景気に不透明感が鮮明化している。
その背景には、中国の減速懸念が高まっていることがある。
世界最大の人口を抱える中国経済の減速は、世界的な需要の落ち込みにつながる可能性がある。
もう一つ忘れてはならないポイントは、米国の利上げが近づいていることだ。
金利引き上げによるドル高傾向に繋がり、資源価格や各国の不安定な株価や、対ドルでの通貨下落につながっている可能性がある。
■利上げ観測が高まる中、なぜ長期金利が低下するのか
米国の利上げに対する市場の見方は、15日のイエレンFRB議長の議会証言に支えられている。
この証言で、イエレン議長は明確に、年内の利上げが適切だと述べた。
その発言を受けて、米金利は緩やかに上昇した。
しかし、足許で米国の長期金利は低下に転じている。
金利低下の要因として、2つポイントが指摘できる。
★.米国の企業決算の動向と、
★.ディーラーやヘッジファンドによる国債空売りの買い戻し
だ。
今のところ、米国主要企業の決算は総じて低調だ。
それは、ある程度まで事前に予想されていたこともあり、あまり大きなインパクトにはなっていない。
むしろ、低調な企業業績は、金利上昇を抑えるファクターになっている。
これから夏季休暇を控えて市場参加者が少なくなる中、多くのディーラーは金利上昇に備えて空売りした国債を買い戻していることだろう。
足許では取引が閑散であることもあり、少額の買いであっても金利水準に影響を与えやすい。
そのため、金利が低下しやすい状況になっている。
つまり、米国債の利回り低下は、市場参加者が空売りポジションを閉じ、7月下旬のFOMCの内容を見極めようとする動きが相場に影響を与えている可能性がある。
■高まりつつある9月の利上げ予想
為替相場に目を向けると、利上げが近づいているという考え方が、ドル高への期待を支えている。
一般に原油などの商品はドル建てで取引される。
そのため、ドルが上昇しやすい場合、原油などの資源価格は下落しやすい。
その流れに、イラン核協議の合意、中国の経済指標の下振れが加わって、資源価格が下落している。
そうした動きが、ブラジルやインドネシア、オーストラリアなどの通貨の下落につながっている。
特に、新興国では通貨安が進んでいるにもかかわらず、輸出が減少している。
そのため、ドル高期待の裏返しとして、新興国通貨などに対する売却圧力は高まる可能性がある。
イエレン議長はギリシャ問題や中国の株式市場の急落がある中でも年内の利上げが適切との考えを示した。
今後は、FRBの考えを前提に、各市場の動きを考えることが重要になる。
』
【中国の盛流と陰り】
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