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ロイター 2015年 07月 27日 19:07 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/07/27/cross-market-eye-idJPKCN0Q10YP20150727
中国株が再び急落、
資源安巻き込み高まる不安心理
[東京 27日 ロイター] -
中国株が再び大きく下落し、警戒感が強まっている。
売買が再開された銘柄にあらためて売りが出ているためだが、同国の弱い経済指標が相次ぎ、資源安を巻き込んだ世界景気減速への懸念が市場心理を冷やしている。
資源安には原材料費軽減のプラス効果もあるが、不安心理が高まる中で、リスクオフの動きが先行しやすい状況だ。
■<溜まっていた売り>
27日の市場で上海総合指数.SSECは8.48%と、2007年2月以来の大きな下落幅となった。
上海株は6月12日の高値から7月9日の日中安値まで、約35%下落した後、中国政府などから政策や対策が矢継ぎ早に打たれたことで、前週末24日には一時、安値から24%反発。
落ち着いてきたとの見方も出始めたところでの急落となった。
特段のきっかけは、観測されていない。
しかし、売買が停止されていた銘柄が徐々に売買再開されるなかで、溜まっていた売りが一気に出たとの見方が有力だ。
この間、中国の経済指標にはさえないデータが続いていた。
4─6月期国内総生産(GDP)こそ7.0%増と政府目標にピタリと着地したが、7月の中国製造業PMI(財新/マークイット)は15カ月ぶり低水準。
6月の工業部門企業利益は、前年同月比0.3%減とマイナスに転じた。
「景気減速懸念が強まっているにもかかわらず、人為的に株価が支えられていたことで、ゆがみが一気に噴き出した可能性がある」
と、楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏は指摘する。
■<さらなる株価対策に期待>
株価が再び急落局面に入れば、中国政府の株価対策が再び出てくるとの見方もあり、売買再開銘柄への売りが一巡すれば、株価は下げ止まりそうだ。
10月に五中全会(党中央委員会第5回全体会議)を控えているほか、来年からは新5カ年計画も始まる。
景気を腰折れさすような株安を容認するとは考えにくい。
ただ、中国を中心に世界経済の減速懸念はじわりと強まっている。
需要減少を警戒し、資源価格は大きく下落。
27日の市場で金価格GCcv1は小反発したが、原油先物CLc1は続落した。
「早期の米利上げ観測に伴うドル高と中国需要の減速懸念が、資源価格の重しになっている」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)
という。
米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAC.N)によると、最近2週間の貴金属ファンドからの資金流出は100億ドルとなり、4カ月ぶりの高水準、新興国ファンドの流出額も合計100億ドルとなった。
金、コモディティ、新興国資産の「投げ売り」が起きていると24日付のリポートで指摘している。
■<資源安にはプラス面も>
資源安は、マイナス面ばかりではない。
資源国経済の重しになる半面、資源を輸入している先進国には原材料コストの軽減を通じてプラスの効果をもたらす。
日本にとっては、原油安とその他の資源安で10兆円以上のプラス効果があるとT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は試算する。
日本のGDP2%分に相当する大きさだ。
しかし、市場にリスクオフムードが広がる中では、こうしたプラス面を織り込むのは難しい。
コモディティや新興国資産から流れ出たマネーが日本株にシフトするとの期待もあるが、27日の日経平均.N225は一時、250円を超える下落となった。
市場の乱高下を演出しているのは、ヘッジファンドなど海外の短期筋だ。
7月第2週に日本株を現物と先物合わせて1兆5894億円売り越したが、翌第3週には1兆1040億円買い越した。
足元では、その反動による売りが出ているとみられている。
日本企業の業績は堅調であり、資源安が中期的には追い風となったとしても、リスクオフ局面では外需減退のマイナス面が強調されやすい。
日本株市場も「夏枯れ」で売買ボリュームが少なくなってきた。
薄商いの中での、海外短期筋の売買による乱高下には警戒が必要だ。
』
『
ロイター 2015年 07月 28日 04:30 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/07/27/china-stocks-margins-idJPKCN0Q117920150727
中国が株購入継続へ、
下支え策縮小とのうわさ否定
[上海 27日 ロイター] -
中国当局は27日、株式市場の安定化に向け、株の購入を継続する方針を示した。
国内株式市場がこの日、8%超急落したことを受け、機能不全が市場全体に波及するリスクを回避する用意があるとした。
証券規制当局は、市場当局が「悪質な空売り」に関与した者に厳しく対処するとも警告した。
株安を受け、キャピタル・エコノミクスのアナリストらはメモで
「地合いが悪化すれば、価格下支えを狙った政策介入の効果は長続きしない、
というのが直近の中国株バブルで得られた教訓だ」
と語った。
この日、上海と深セン市場に上場する1500超の銘柄が、1日の値幅制限いっぱいの10%安(ストップ安)だった。
大半の指数先物も急落した。
銀行筋は、国営の中国証券金融が商業銀行から借り入れた資金の一部を前倒しで返済したと述べている。
中国証券監督管理委員会(CSRC)は中国市場終了の数時間後、中国証券金融による株価下支え策の中止をめぐるうわさを否定。
一部の大口投資家が「悪質な」空売りに関与している可能性を排除しないとの見解を示した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年7月28日(火) 12時15分
http://www.recordchina.co.jp/a115082.html
上海株式市場、8年ぶり8%超えの下落
=中国ネット「一晩で解放前に逆戻り!」
「もう海外移住するしかない」
2015年7月27日、中国・上海株式市場は総合指数で前週末比345.35ポイント(8.48%)下げ、3725.56で取引を終了。
07年2月以来8年5カ月ぶりの大幅安となった。
中国紙・新京報が伝えた。
個人投資家は
「ここ2週間ほど株価は値上がり傾向にあったが、たった1晩で解放前の中国に逆戻りしてしまった」
と嘆く。
週明けの中国株急落を伝える記事に、中国のネットユーザーから多くのコメントが寄せられた。
「ざまあみろ。
株なんてやってるからだ」
「労働せずに金もうけできること自体が間違っている」
「株価がもともと高すぎたんだよ。
中国株にそれほどの価値があるとは到底思えない」
「中国株式市場はカジノよりひどい」
「中国政府も株価の下支え政策をするなら最後まで徹底的にやらなきゃ意味がないだろ」
「今度また下がったら警察に通報だ!」
「今度また下がったら集団移民だ!」
「株式市場を閉鎖するしかない」
「なぜ政府は株が暴落するたびにダンマリを決め込むのか。
誰かきちんと説明しろよ」
「ビルの屋上は自殺希望者でいっぱいになるぞ」
「ビルの真下は落ちてきた人(身投げ)でいっぱいになってるかも」
』
『
サーチナニュース 2015/07/28(火) 16:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0728&f=business_0728_077.shtml
中国株また暴落。
日本株、為替への影響まとめ=為替王
中国株がまた暴落しました。
昨日1日で、8%超も値下がりしました。今月上旬に大暴落したときに記録した安値と比べますと、まだましな水準ですが、今後の、日本経済、日本株、為替への影響について、私の認識をまとめます。
■今後の中国株の動向と影響について、私の認識まとめ
・中国株の暴落で損をしているのは大半は中国の個人投資家。
・グローバルな投資家に悪影響が出ているわけではないので、本来、先進国の株式市場で連鎖的に株を売る必要も理屈もない。
・中国政府は追加的な株価対策を講じることが可能。
・問題は、目先の株価動向よりも、本質的な中国の経済情勢。
・資産インフレ(不動産や株価の上昇トレンド)が止まったとなると、
今後は中国が本質的な経済成長をどれくらい維持できるかがポイント。
・中国はこれから高齢化が加速し、近年の日本と同じように大きな重荷になるので、長期的には、中国経済が衰退する可能性が非常に高い。
・日本経済も悪影響がないとは言わないが、
深刻な影響を受けるのは、
中国経済との結びつきが近年深くなっている豪州経済や欧州経済。
■日本株への影響や見通しについて、私の認識まとめ
・インバウンド消費は一夜にして冷え込むわけではない。
が、中国人客の大量買いが長期的に(5年先くらいも)続くことを想定して経営戦略を立てている業種(企業)は危険。
・長期的に日本株の上昇トレンドはまだまだ続く。
・これまでもそうであったように、日本株が一時的に急落する局面は好機。
■為替への影響と見通しについて、私の認識まとめ
・中国株暴落などの現象は、リスク回避の流れから円が買われやすい。
・といっても、昨日、中国株が8%暴落したのに対して、米ドル円の円高変化率は0.4%台。
・結局、重要なのは米国や日本など主要国の経済動向や金融政策。
・米国の利上げが想定よりも遅く緩やかになれば、多少、円高に戻ることも。
・しかし、日米の金融政策や経済環境の格差から、以前のような極端に円高になる可能性は非常に低い。
以上、中国株の暴落が招く、日本経済、日本株、為替への影響と、今後の見通しについて私の認識をまとめました。
』
『
ロイター 2015年 07月 28日 13:12 JST John Foley
http://jp.reuters.com/article/2015/07/28/china-markets-stocks-breakingviews-idJPKCN0Q208F20150728
コラム:中国当局が払う資産バブル傍観の「代償」
[ロンドン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
中国政府が株式市場を支えると約束しているのは、賢明な対応とは言えない。
もしも当局が資産価格を押し上げる誘惑に打ち勝っていれば、こんなことをせずに済んだ。
★.これほどの試練にさらされる政府というのは滅多にお目にかかれないだろう。
上海総合指数が27日に8.5%下落したことを受けて主要証券規制当局は株価支援の継続を表明した。
その条件反射的な動きは驚くばかりだ。
また「悪質な空売り」といった罵倒まで飛び出し、
★.中国政府が劣勢に立たされているという雰囲気が一層高まった。
これは
★.フリーライダー(タダ乗りする人)が支払う高額な代価
といえる。
過去30年の大半の期間で、中国の金融市場は規制され、あるいは実体経済を援助するために選別的に利用されてきた。
外資系銀行や外国人投資家はそれに不満を感じていたものの、基本的に安定した状況が続いた。
企業は内部留保もしくは銀行融資で資金を調達し、株式はどの月でみても新規調達の5%弱にしかならないことが普通だった。
しかし資産価格上昇が奏でる誘惑の言葉にはやはり抗しがたいものがあったことが分かる。
政治家たちが過去5年間にわたって事態を傍観している間に、
★.不動産市場がバブルの領域にまで達してなお今も完全には破裂しておらず、
結果的に資産効果をもたらしている。
さらにその後に起きた株価高騰はある意味でより始末が悪い。
住宅価格をこの水準だと決め付けるのは難しいが、
★.株価というはっきりしたシンボルの急落はだれでも把握できる。
中国株はこの1カ月足らずで3割強も下がった。
この株安を食い止めるために政府が打ち出せる対策は、例えば利下げから国有企業に自社株買いを義務付けることまで、まだ数多く残っている。
ただし期限を設けずに市場で直接自社株を買うと発表する以外の対策はすべて、投資家のリターンを減らしてしまう可能性が大きい。
その上、当局がトレーディングやレバレッジの規制強化を駆使して株式市場の急騰にブレーキをかけるという真っ当な行動を否定した時点で、現実の被害が出てしまった。
この面での愚かさや無能さは中国の当局者も多くの西側当局者もまったく同レベルだが、
★.中国では株高の背後に当局が存在するという虚構を長らくまん延させてしまったせいで、
政策担当者たちは株安に振り回されざるを得ない状況に陥ってしまった。
■<背景となるニュース>
◎中国の主要証券規制当局は、27日に上海株が8%強下落したことを受け、国有機関による買い支えを続けると表明した。
上海総合指数の同日の下落率は2007年以降で最大を記録した。
◎中国証券監督管理委員会(CSRC)は、公表したメディアからの質問への回答の中で、引き続き国民に安心感を与え、システミックリスクを避ける意向を示した。
中国証券金融が株式市場安定化で一定の役割を果たしていくことに変わりはないとも付け加えた。
また一部個人による大規模な株式売却の実態を調べ、「悪質な空売り」には厳罰を加えると強調した。
◎6月に株価が7年余りぶりの高値から下げ初めて以来、中国当局は利下げや地方政府が運営する年金基金に初めて株式購入を認めるといった措置など、多くの下支え策を導入している。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年7月29日(水) 18時31分
http://www.recordchina.co.jp/a115192.html
中国株式市場が8年ぶりの大暴落、証券会社の報告書が“主犯”
=「米国に逆らうとどうなるかってこと」
「中国はほとんどがうそ」―韓国ネット
2015年7月28日、韓国・イーデイリーは、中国株式市場が8年ぶりの大暴落を記録した中、外資系証券会社の報告書に注目が集まっていると伝えた。
複数の中国メディアは、バンクオブアメリカ・メリルリンチが出した信用リスク関連の報告書が、中国株式市場の投資心理を急激に萎縮させた“主犯”と指摘した。
メリルリンチは27日の中国A株(上海・深センの株式市場に上場している中国企業を対象とした市場)の信用融資規模が7兆5000億元(約149兆円)に達すると推定する分析を出した。
中国A株は現在七つの経路でレバレッジ(他人の資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めること)資金が流入しており、元金を計算すると3兆7000億元(約73兆6000億円)に達する。
平均レバレッジ比率が2倍と仮定すると、A株の信用融資金額が少なくとも7兆5000億元に達するという意味だ。
これは、A株の時価総額の13%、流通時価総額の34%に相当する膨大な規模となる。
既存の市場で知られている信用取引の規模は2兆元(約40兆円)前後だった。
この報道に、韓国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられている。
「米国の企業が出す数字なんて、そもそもいい加減じゃないのか」
「メリルリンチ?
おまえらも大きなレバレッジをかけた取引をしているだろうに」
「莫大な借金と言えば、米国市場も同じ」
「米国に逆らうとどうなるかを示す恐ろしい事件だ」
「米国は怖いね。
鼻息をかけるだけで中国株式市場が吹っ飛ぶ」
「米中の戦いは米の勝ちだな」
「中国を信じてはいけない。
十中八九はうそだ。
株式市場もでたらめだ」
「中国関連は株だけじゃなくて、社債や国債も売らないと…」
「韓国の場合、不動産投資が危険水域だ」
「韓国もアジア通貨危機の時に外国格付け会社・ムーディーズの評価書1枚で株式市場が吹っ飛んだ。
中国も現在の状況は良くないが、為替や株が大規模に暴落している状況ではない。
まだ回復可能だ」
』
『
JB Press 2015.7.30(木) リンダ・ユー
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44418
中国の異常な株式市場
ジェットコースターのような乱高下はまだまだ続く
中国の株式市場が再び急落した。
今度は8.5%。
この市場での1日の下落率としては過去2番目の大きさで、世界金融危機以降に限れば最大だ。
ジェットコースターのような相場は、まだ収束にはほど遠い。
実を言えば、
中国の株式市場は遊園地の乗り物よりもカジノに似ている。
ほかの主要な株式市場では、情報を比較的多く持っている機関投資家が最大の投資主体だが、中国の株式市場では売買の85%が個人投資家によるものだからだ。
その結果、意外なことではないが、この市場では株価形成においてうわさや感情が過大な役割を果たしており、値動きが極端に荒い。
■カジノのたとえが適切な理由
そしてこの値動きの荒さ、つまりボラティリティー(変動性)の大きさが、カジノというたとえが使われるもう1つの理由になる。
中国の株式市場は、
景気失速の引き金を引くことなく2ケタの変動を記録し得る市場なのだ
――少なくとも今までは。
例えば、2001年から2005年にかけてこの市場の株価が半分になったことがあったが、同時期の中国の国内総生産(GDP)成長率はその影響を受けなかった(実際、10%近い成長を遂げていた)。
その後に株価が回復した時もそうだった(ただ、株価は2008年の金融危機以降、再び劇的に下落した)。
それ以降の中国の株式市場は、ほかの市場よりも出遅れていたが、昨年は150%超上昇し、世界で最も高いパフォーマンスを上げた。
このジェットコースターのようなパターンはまだ続いている。
市場が再開された27日(月)に8.5%下落する前には、2日間の上昇率が2008年以降で最大になる場面もあった。
そしてその前には、6月半ばから7月初めにかけて相場が崩れ、市場の価値が3分の1近く失われていた。
このボラティリティーは、中国の金融自由化が間違いなくスムーズに進むようにすることがいかに難しいかを浮き彫りにしている。
政府による大規模な市場介入で一部の株主による株式売却が禁止され、市場の売買の大半が凍結された後、確かに株価は反発した。
しかし、介入で急落の再来を防止できる公算は小さい。
なぜか。
それは、中国の株式市場が完全に流動的だとは言えず、世界市場に統合されているわけでもないからだ。
また、この市場は中国の貯蓄主体――個人投資家――の資金に支配されている。
実際、中国の株式市場にある株のほとんどが売買可能になったのは2009年になってからにすぎない。
2005年に改革が始まるまでは株式の3分の2が国有企業(SOE)や法人(国家に支配されているのが普通だった)で保有されている「非流通株」で、売買できない状態にあった。
中国の上場企業では民間企業はまだ少数派だが、今日では中国市場における非流通株の発行済み株式数に対する割合は30%より小さくなっている。
■まだ比較的閉じられている市場
確かに、非流通株の割合が低下したことを受け、中国の株式市場にはこのほんの数年で大量の流動性が流れ込んでいる。
だが、中国は証券投資目的の資本流入に対して資本勘定の規制もかけており、株式市場は比較的閉じられている。
上海と香港の市場をリンクする上海・香港相互株式投資制度(ストックコネクト)が先日立ち上げられるまで、外国人投資家は中国本土の取引所でA株を直接購入することができなかった。
直接購入は割り当ての対象であり、いわゆる適格外国機関投資家(QFII)の免許を限られた数の投資家に交付するという形で実施されている。
そのうえ、人脈やその他の手段を利用できるかなりの富裕層は別にして、中間層になったばかりの何千万人という中国の普通の個人は世界の市場に容易にアクセスできない。
また、預金のリターンは低く(以前はマイナスだった)、国家が支配する金融システムでは金融商品の多様化も進まない。
その結果、普通の個人が利用できる投資対象は住宅と国内株式が主体となる。
しかしその後、住宅市場が失速した。
不動産バブルへの恐怖心が政府による融資の取り締まりに拍車をかけ、中間層の個人が蓄えを運用できるところは株式市場だけになってしまった。
その後に訪れた株式ブームは1998年から2001年にかけての、つまり住宅市場が自由化されて株式市場が下落した時のパターンの鏡像なのだ。
そこで大きな問題として浮上するのが、昨今のボラティリティーの高さはほかの資産の市場や実体経済にも影響を及ぼすのかということだ。
上海総合指数は6月以降2ケタの下落を記録しているが、経済危機の引き金を引くには至っていない。
これは恐らく、株式市場に参加している
中国人の世帯数が全世帯の10%にも満たず、
家計資産に占める株式の割合も15%に満たない
からだろう。
しかし、株式投資で含み損を抱えた中国人の世帯が全体のごく一部であっても、
絶対数にすればその数は数千万人に上る。
このため政府は懸念を抱き、対策を講じるに至った。
具体的には、担保の条件を緩和し、信用取引のマージンコール(追い証)に不動産で応じられるようにした。
■中程度の下落が簡単に相場の総崩れに転化
そもそも、市場のメルトダウンの引き金を引いたのは、世界市場の下落を背景とした投資マインドの減退に加え、
当局による信用取引の取り締まりだったと考えられている。
これも、小口の参加者が支配する市場の特徴である。
そのような市場では、同じ方向に「群れをなして」進む投資家の行動が相場の急騰や急落を招く。
個人投資家は、ほかの参加者の方が自分よりも良い情報をつかんでいると思い込んでいるからだ。
その結果、目の前で展開されているように、今日では中程度の下落が簡単に相場の総崩れに転化し得るようになっている。
そして、出口をふさぐ政府介入は不適切だ。
逆に言えば、中国の株式市場が外に開かれ、その制度的な土台が予測可能になるまでは、ボラティリティーがこの市場の唯一の指針であり続けるだろう。
』
『
東洋経済オンライン 2015/7/30 06:05 増田 悦佐
http://toyokeizai.net/articles/-/78669
中国株の大暴落は、これから本格的に始まる
中国の株式市場は、7月第2週末(9~10日)に金融市場を監視する当局が「カラ売りを仕掛けた人間は逮捕する」という脅しをかけた効果もあって、7月10日には久しぶりに回復に転じた。
だが、この回復はおそらく、かなり長期にわたる弱気相場の中の小康状態に過ぎなかったことが、今後数週間のうちに明らかになるだろう。
■中国株式市場暴落の真相とは?
中国で6月12日まで急騰を続けてきた株価が突然連日の暴落に転じた理由は、決して悪質な投機屋グループがカラ売りを仕掛けているからではない。
★.中国の実体経済が、2000年代初めから延々と続けてきた過剰投資によって、
本来減速すべきGDP成長率を高水準に保つという政策の矛盾がついに噴出した
からこそ、すさまじい暴落を招いたのだ。
その辺の事情は、次の2枚組のグラフにはっきりと表れている。
上段は2010年11月~2015年6月の上海総合株価指数と中国経済先行指標を対比したグラフだ。
ご覧のとおり、経済全体の先行指標は下がり続けているのに、上海総合株価指数のほうは、去年の初夏に底入れして以来急騰を続けてきた。
このグラフを見るだけでも、中国株が暴落した最大の要因は、経済基礎条件によって正当化できないほど上がりすぎていたことだとわかる。
さて、世の中にはおめでたい人がいるものだ。
つい最近発表された2015年第2四半期のGDP成長率が第1四半期と変わらずの+7.0%だったのを根拠に、
「中国経済はまだかなり高い成長率を確保しているのだから、
株価は暴落しても経済全体の健全性にはほとんど影響はない」
などとコメントしている経済評論家もいる。
■中国の成長率は「お化粧」されている
だが、そもそも
★.中国政府の公表する経済統計は、入念にマッサージされ、メーキャップを施して素顔とは別人のように美化された代物
なのだ。
その政府公表数値でさえ、
★.「何がなんでも守り抜く」と公言した7%成長をギリギリ確保しただけ
ということは、
正直なデータを見ればマイナス成長になっている可能性が高い。
前出のグラフ下段には2012年10月~2015年6月の中国製造業生産高の前年同月比変化率と、中国のコンテナ貨物輸送量が対比してある。
製造業生産高は、2013年末まではほぼ一貫して2ケタ成長だったものが、今年の3月に6%割れで底を打ってから、直近では6.8%成長にまで挽回したことになっている。
だが、これもまたかなり厚化粧をした数字だろう。
比較的ごまかす余地の少ないコンテナ輸送量指数のほうは、
2013年の1100台から、直近では800台をかろうじて維持するまでに下がっているが、特に3月以降になって下落率が加速している。
中国の実体経済の成長率鈍化は、ひょっとするとすでにマイナス成長まで深刻化しているかもしれないという事実が世界経済におよぼす影響は、甚大だ。
次の2枚組グラフをご覧いただきたい。
上段は、中国の製造業生産高の前年同月比変化率と、国際商品市場における原油価格の前年同期比変化率を対比したグラフだ。
一目瞭然と言うべき明瞭さで、2000年代半ば以降の原油価格は、中国の製造業成長率が高ければ上がり、鈍化すれば下がるという相関性があったことがわかる。
■中国製造業の成長率によって原油需要は左右されてきた
いまだに広く認知されていないが、1990~2000年代にかけて、世界中の先進諸国でかなり顕著な経済の省エネ化が進んできた。
その結果、過去10年ほどの期間を見れば経済大国でエネルギー消費量が増えていたのは中国だけであって、その他諸国では横ばいから減少にとどまっていた。
だから、
★.中国製造業の成長率が高ければ、世界市場での原油の需要が拡大し価格も上がるが、
中国製造業の成長率が低いと世界市場での原油需要は縮小して価格も下がる
というパターンが確立されていた
のだ。
原油価格の動向を点検すると、このグラフで対象とした2005年後半から2015年前半までの全期間にわたって中国製造業生産高の成長率に寄り添うように上下している。
つまり、現代世界における原油価格は、中国製造業の成長率が11~12%台を維持できれば値上がりし、10%台まで下がれば値下がりするのだ。
★.2014年初夏からの世界的な原油価格の暴落は、同年年央には中国製造業の生産高成長率が8%を割りこむほど下がったために起きたのだと断定できる。
米国のシェールオイル開発動向やOPEC諸国、ロシアなどの政治的な思惑による生産量の拡大や縮小とはまったく無縁で動いてきたのだ。
■不自然な高止まり状態も
こうした基本的な事実関係を踏まえ、さらに公表数値は実態よりかなり上げ底されているということも頭の片隅に入れた上で、中国製造業の成長経路を振り返ってみよう。
★.2005年から2008年半ばまではほぼ一貫して10%台後半の急成長が続いていた。
★.2008年後半から2009年前半の1ケタ成長への低下は、明らかに国際金融危機に引きずられたための一過性の減速だった。
ところが、2009年末に始まった中国製造業生産高の低下はまったく違う。
一過性の急落からV字型の回復へというパターンではなく、中国経済全体としての成長率が低下したために、
★.2010年から2011年にかけて12~14%台に低下し、
2012から2013年にかけては8~10%台へ、
そして2015年にはついに6%を割りこむほど下がってきた
のだ。
下段に掲載した国際市場での銅価格の動きを、同じく中国製造業の生産高成長率と比較したグラフに目を移すと、原油の値動きとは明らかに異質だということがわかる。
2008年末に国際金融危機の余波でトン当たり3000ドル台を割りこむほど急落し、その後2009年を通じてトン当たり8000ドル目前まで急回復したあたりまでは、原油価格とほぼ同じパターンだった。
だが、2010年以降は原油価格の上昇率が1ケタからマイナスへと低下し続けたのに対して、銅価格は2011年年初にトン当たり1万ドル台という最高値を記録している。
この時期にはもう中国製造業の成長率鈍化は明白になっていたので、この銅価格上昇は実需というより、投機的な買い占めや銅地金を担保にカネを借りる、いわゆる「銅ファイナンス」を反映した上昇だった可能性が高い。
そして、直近の数値でも銅価格は5500ドル台を維持していて、2008年末に3000ドル割れした頃よりはるかに高い位置にある。
しかし、中国経済全体も、中国の製造業も、成長率は2008年以前より大幅に鈍化している。
現在の銅価格はまだまだ割高であり、この先暴落する危険が大きい。
鉄鉱石、粗鋼、鋼鉄を生産するためのコークスに使う原料炭といった商品も、銅と同じように不自然な高止まり状態にある。
中国のエネルギー資源や金属資源の爆買いに依存していた国際市況商品は、これから中国製造業の生産高が低成長からマイナス成長へと下落するにつれて、本格的な暴落過程に入る。
そのとき、「世界の工場」であることによって高値で維持されてきた中国株は、さらに大きな下げを演ずるのは、間違いのないところだ。
■諸国経済への打撃
また、オーストラリア、ブラジル、インドネシア、カナダといった資源国も、これまでは中国からの旺盛な需要が持続することを前提にして、資源採掘事業の規模拡大を進めてきた。
だが、これら諸国の資源業界には、今や原価を下回る価格で自社の生産物を売ってでも、すでに投下してしまった設備投資額を少しでも早く回収しようと安売りせざるを得ない状態に追いこまれた企業が多い。
特に鉄鉱石や原料炭を産地から積出港までピストン輸送するだけの貨物列車の運転士の年収が、日本円で言えば1500~2000万円に達していたというような
資源バブルを謳歌したオーストラリア経済は、眼も当てられない惨状を呈するだろう。
本来、世界中の先進国でもっともエネルギー資源、金属資源、食料の対外依存度が大きい日本にとっては、資源安は原材料コストを大幅に削減するチャンスだ。
そして資源安のメリットを最大限に享受するためには、円高への転換を志向すべきだ。
だが、現政権は相変わらず国民の生活水準を下げるだけの円安・インフレ路線に固執している。
残念としか言いようがない。
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【中国の盛流と陰り】
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