2015年6月2日火曜日

深刻な景気減速(1):中国経済の歯車は完全に逆回転を始めてしまった

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JB Press 2015.6.2(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43908

中国市場で甘い夢を見てはいけない
日中関係「改善」の兆しはビジネスの好機なのか?

 日中関係の改善を促す動きが進んでいる。
 5月23日、北京の人民大会堂で行われた日中友好交流大会では習近平国家主席も出席し、日中関係の雪解けが近いことをうかがわせるものとなった。

 振り返れば過去数年間、両国の関係悪化によって多くの日中ビジネスが棚上げにされた。
 2012年の反日デモ以来、売上げが低迷する日本ブランドも多い。
 多くの企業が中国でビジネスをする際の政治的リスクを痛感し、「チャイナプラスワン」を唱えるようになった。

 だが、ここで空気が変われば、中国市場での巻き返しも不可能ではない。
 最近は訪日旅行客が急増し、彼らによる“爆買い”もある。
 いったんは中国市場と距離を置いていたが、これだけ訪日旅行客が日本製品を買うのだから、中国ではもっと売れるはず・・・と考える企業があっても不思議ではない。

安売り合戦で疲弊する家電メーカー

 だが、仮に日中関係が改善したとしても、日本企業にとって中国市場の攻略がきわめて困難であることに変わりはない。

 例えばテレビ市場。
 世界の需要は年間で約2.5億台。
 そのうち中国だけでも4000万台を超える需要がある。
 それにもかかわらず、近年、日本の家電メーカーは相次いで中国から撤退している。
 表向きは「人件費の高騰」だが、それだけでは語れない要因がある。
 「そもそも中国の量販店で売ってもらえなかった」と、ある日本の家電メーカーの社員は振り返る。

 中国の量販店には、見えない壁が存在する。
 テレビの場合、10インチから85インチまでの商品を揃えないと店頭で販売させないという暗黙の縛りがあるのだ。
 これでは日本勢は得意の高付加価値製品に特化できず、競争力を保てなくなる。

 背景にあるのは国産ブランドの保護だ。
 中国にはテレビのローカルブランドが20社近くもある。

 「市場規模は縮小していませんが、ほとんど儲かりません。
 日本の製造業はどこも同じです。
 販促費をつぎ込んでも、安売り合戦で疲弊するだけ。
 中国の特殊な市場で、日本の製造業が十分な競争力を発揮できるとは思えません」(同)

 “独り勝ち”が続いていた日本ブランドの化粧品も勢いが落ちてきた。
 富裕層が求めているのは、もはや日本ブランドだけではない。

 上海の国営企業で管理職に就く男性はこう語る。
 「以前、妻は日本ブランドを使っていましたが、今はアメリカの『ドゥ・ラ・メール』の化粧品を愛用しています。
 妻が追いかけているのは、アメリカに住んでいる中国人のトレンドなんです」。

 ドゥ・ラ・メールの化粧品といえば、1アイテム数万円もする高級品だ。
 一方、日本ブランドの化粧品はいまや手軽に買える「ポピュラーな商品」として、主要ユーザーが地方都市在住の女性にシフトする兆しを見せている。

 ずいぶんもてはやされた日本の化粧品ブランドだが、中国では、2012年の反日デモの後遺症を引きずり、在庫圧縮のための苦しい闘いが続いている。

結果を出せない小売業

 小売り業もなかなか結果を出せないでいる。
 高島屋は2013年から上海での本格営業を開始した。
 その立地はなぜか住宅街のど真ん中。
 「日本のたまプラーザ店をイメージした」と言うが、集客には結びついていない。

 日本からの出展商を集めてイベントを開催しても客が集まらない。
 出展商らは
 「こんなに来場客が少ないとは思わなかった。
 (百貨店側から)聞いていたのと話が違う」
と不満を漏らす。

 「高級路線を見直し、家族連れが訪れやすい売り場にしたことで集客は伸びて来ている」(高島屋・広報)
と言うが、黒字化までの道のりは遠そうだ。

 また、ユニーは昨秋、中国1号店となる総合スーパー「アピタ」を上海に開店した。
 日本ブランドの商品を集めた賑やかな売り場だが、地元客は定着するだろうか。

 地元客の1人は言う。
 「毛の太さが0.1ミリの歯間ブラシを買いに来ました。
 これは日本メーカーしか作っていないんです。
 ところが、売り場にありませんでした」

 「日本製ならば何でもほしい」
というわけではない。
 中国では手に入らないもの、中国が作れない日本製品を求めるのが中国の消費者だ。
 こうした細かなニーズを拾い上げることも日系小売業の課題となる。

安定とはほど遠い中国の市場

 一時期、中国の日系スーパーで人気となった商品に青森のりんごがある。
 「日本の美しくて大きなりんごは大人気で、ディスプレイ用に置いたりんごは売り場のステイタスだった。
 客の誰もが写真を撮りたがった」
と、貿易会社社長は振り返る。

 だが、福島第一原発の事故以来、中国政府が「放射能汚染の影響がある」としている12県(現在は10県)からの農産物・食品の輸入はピタリと止まったままだ。
 青森県のりんごは該当しないものの、いまなお正式に輸入が解禁されない状態が続いている。

 「りんごの貿易など、中国政府にとっては取るに足らない小さなことだ。
 何をきっかけに再開されるのか、私たちにも予測できない」
と前出の貿易商は語る。

 明治ホールディングス傘下の明治は、2013年、安定収益の確保が難しいことを理由に、中国での粉ミルクの販売と現地生産計画を休止した。
 原発事故の影響が続いて販売が減少したうえ、他の外資系ブランドとの競争も激しく、利益を得るのが難しい状況になっていた。

 粉ミルクといえば、中国政府が外資系の乳製品メーカー6社に対し、独占禁止法違反で総額6億6900万元(約106億円)の制裁金を科したことも記憶に新しい。
 仏ダノンは、嬰児に与える粉ミルクに採用してもらうため、産婦人科の医師や看護婦に多額の賄賂を贈っていた。

 怒涛のごとく外資製品が押し寄せる中国市場で勝ち抜くためには、手段を選んではいられない。
 しかも、政治の状況によって、いつ市場が一気に冷え込むかも分からない。

 日中関係は改善の兆しを見せつつある。
 だが、それが日本企業にとって好機となるか否かは慎重な判断が求められる。
 くれぐれも「巨大な中国市場」の幻に酔わされないことだ。



ダイヤモンド・オンライン 2015/6/5 08:00 姫田小夏
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150605-00072713-diamond-nb&p=1

日本での爆買いパワーを内需に転換できない中国の焦燥

 今年第一四半期、上海市の百貨店の売上高は160億4400万元となり、前年同期比7.5%の減少となった。
 昨年上半期、上海市の百貨店は歴史的な落ち込みを経験したが、いまだ低迷が続いている。
 習近平政権による倹約令や不動産価格の成長の頭打ちなどが、消費マインドを冷え込ませ、上海市の小売市場を鈍化させている。

 ところがその一方で、海外では中国人の爆買いパワーが炸裂している。
 今年2月後半、春節(旧正月)時の訪日中国人旅行客は10日間で60億元(約1125億円)を消費し、4月上旬の清明節(日本のお盆に相当)の休暇では70億元を消費したといわれている。

 この状況を見た中国政府は、爆買いパワーを国内に回帰させるべく策を講じた。
 それが「日用品の輸入関税引き下げ」である。
 6月1日からは、一部の衣料品や靴、スキンケア用品、紙おむつなどの輸入品が中国でも購入しやすくなると期待されている。

●以前なら考えられない ブランドの「叩き売り」

 中国では長期にわたり、内外価格差が存在した。
 例えば、1000元の化粧品を輸入すると関税が10%、増値税(日本の消費税に相当)が最高17%、消費税(奢侈品に課税)が30%課税され、最終価格は1758元に跳ね上がる。
 中国の消費者には
 「中国で輸入品を買えば、常に50%以上も余分に支払わされる」
という心理があり、それが国内での消費を妨げる一因となってきた。

 さて、その上海で、先月、高級ブランド品のセールが行われた。
 筆者のスマートフォンに「グッチ、上海全店で50%オフ」の記事が着信したのは5月26日のことだった。
 すでに成長鈍化の局面にあることはたびたび報道されてはいたが、強気一点張りの高級ブランドが「叩き売り」に出るというのは珍しいことだった。

 上海でセールを行った13の店舗には、20~30代の女性たちの長蛇の列ができた。
 50%オフならば、海外で免税品を買うような割得感がある。

 中国のファッション業界に長年携わる日本人は「ここまでの値引きは初めて見る」といいつつ、次のように話してくれた。

 「習近平政権の腐敗撲滅策が贈収賄に関与する役人や富裕層に影響した結果、高級品の売上げ減少につながった。
 店側は余剰在庫の換金に迫られたというのが実情でしょう」

 愛人連れの成金が、平日の昼間から店を貸し切るようにして買い物をしたのは、すっかり過去のものとなり、
 代わって出現したのは「50%オフなら買える」という新たな購買層だった。

● 中国経済の減速で 超高級路線に変化が

 中国経済を牽引する上海では、毎年続々とショッピングセンターが新設された。
 売り場面積は拡大の一途をたどったが、その発展は「高級路線一辺倒」とでもいうべき歪んだものだった。
 どこのショッピングセンターも海外の高級ブランドがフロアを埋め、「上海の街で買い物」といえば“高級ブランド”と“そのニセモノもしくはB級品”の両極化をたどった。

 その北京や上海の小売市場には日本ブランドも進出した。
 百貨店でいえば高島屋が2012年末、上海の高級市場に乗り込み1号店を開いた。

 「当時、上海の高級路線には驚かされた」と高島屋関係者は振り返る。
 すでに上海市場は日本を上回るケタ違いの高級市場と化していた。
 上海高島屋もまた「地元ニーズ」を反映すべく、店舗を高級ブランドで固める戦略をとった。

 ところが、上海高島屋の出店を前後して世の中のニーズは大きく変わった。
 中国経済の好循環に変調が出始めたのである。
 上海高島屋の来店数は予想を大きく下回り、平日の昼間などは閑散として目も当てられない状況となった。

 他方、この変化の真っただ中で、今春また日系の百貨店が開業した。
 「上海新世界大丸百貨」である。
 立地は繁華街で有名な南京東路であり、観光地「外灘」にもほど近い。
 営業面積は6万m2、吹き抜けには三菱電機が納入したスパイラルエスカレーターが回転し、一目で贅を凝らした売り場だとわかる。
 これは、上海の老舗百貨店である新世界百貨と大丸(J.フロントリテイリング)が業務提携したもので、新世界百貨からのオファーで提携話が進められてきた。
 ところが大丸側は頭を抱えた。
 テナントがなかなか集まらなかったからだ。

 「店舗の入居はプレオープンの2月時点で2~3割、3月後半でも8割程度で、開店休業にも等しい状態だった」
 と明かすのは、現地の事情通だ。
 ようやくグランドオープンにこぎつけたのは、5月になってからのことだった。

 「肝心な1階フロアがなかなか埋まらなかった。
 オープン遅延の最大の原因はここでしょう」(同)

 1階フロアといえば、まさに売り場の顔。
 数年までは早い者勝ちで高級ブランドが占拠したものだが、時代はすっかり変わってしまったようだ。

●ネットで日本製品を買うのは、 店に「ほしいものがない」から

 一方の高島屋は、ここに来て富裕層向けの高級路線一辺倒の戦略を見直し、路線変更に出た。
 「百貨店自らマーチャンダイジングする平場を重視し、子連れ需要を満たすような売り場づくりに力を入れました」(同社広報)

 その結果、一日当たりの集客は今では1万人に伸びたという。
 高級品を出せば売れる中国の小売業界だったが、今はどの小売業態も改革を迫られている。
 改革のカギになるのは“中間層の取り込み”に他ならない。

 ある外資シンクタンクのレポートは
 「上海の小売業態の売り場の課題は、
 地域密着型のニーズをどこまで反映できるか、
 ニッチなニーズをどこまで拾えるかだ」
とするが、それにはべらぼうに高い都市部のテナント料相場の引き下げが前提となる。

 今の中国は、中間層がようやく経済力を蓄えてきたにもかかわらず、売り場には依然「欲しいものはない」。
 期待の国産ブランドも商品開発の時間とコストを惜しみ、このニーズをつかみ切れていない。

 その結果、中間層はインターネット通販に走り、低予算で買える日本製を物色する。
 中国のネット通販業界はいまや驚異的な成長を遂げ、2015年第1四半期の売買高は231億6400万元、前年比43.1%の伸びとなった。

●日本にあって中国にはない 販売員のソフトパワー

 では、関税を引き下げ売れ筋商品を輸入すれば、あるいは中間層が欲しがるものを陳列すれば、中国国内でも店頭での爆買いに火がつくのだろうか。
 かつて上海で欧州ブランドの高級品販売に携わっていた日本人女性は、筆者の取材に対してこうコメントしてくれた。

 「近年豪華さを極める中国の売り場ですが、依然中国にはないものがあります。それは『対面サービス』というソフトの力です。訪日観光客の多くがこれに感激し、癒されていることは間違いありません。日本ブランドを中国で買いやすくしたところで、対面サービスまで伴うことはできないでしょう」

 日本の売り場での対面サービス、それは単に
 「ていねいなものごし、やさしい言葉づかい」
にとどまらない。
 ベテラン販売員になればなるほど、顧客の好みを即座に掴み、似合うもの、欲しいものを提案する優れた能力を発揮する。

 さらにこの女性はこう加える。

 「日本の売り場で対面サービスを担う人々、彼女たちには知識や情熱はもちろん、
 売場への愛情や仕事に対するプロ意識が非常に高いのです」

 面積だけは拡大の一途を遂げるこの中国だが、残念ながら、これらをもって客と向き合うベテラン販売員は育たなかったといってもいいだろう。

 日本でも売れる商品だから中国でも売れるのか。
 この疑問に対する答えは「ノー」であり、「爆買い」が中国回帰することは難しいだろう。
 日本で爆買いが起きるのは
1].そこに中間層のほしいものが山とあり、
2].そこで買い物することが彼らにとって大変心地いい
からだ。



JB Press 2015.5.5(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43673?utm_source=editor&utm_medium=self&utm_campaign=link&utm_content=recommend

「モルヒネ注射」で痛みを忘れる中国経済
深刻な景気減速、
テコ入れを図るもその場しのぎの延命措置

 景気減速に危機感を持つ中国が、市場のテコ入れに乗り出している。
 最近では、預金準備率の引き下げや住宅ローンの規制緩和などの政策を打ち出した。
 だが、一部の国民からは
 「瀕死の患者(中国経済)にモルヒネを打っているに過ぎない」
と冷めた声が上がっている。

 今年3月初旬の「全国人民代表大会」(全人代)における政府活動報告では、2014年の経済成長率が7.4%だったことが明らかになった。
 24年ぶりの低い水準である。
 背景にあるのは、住宅市場の低迷、工業部門の生産過剰などだ。

 2015年の国内総生産(GDP)の成長率については「7%前後」と発表した。
 中国は「ニューノーマル」という言葉を掲げ、経済を安定させる調整期に入ろうとしているが、見通しは明るくない。
 7%を大きく下回れば雇用不安が生じる可能性がある。

閉鎖が相次ぐ外資系企業の工場

 ここ上海も物騒になってきた。
 地元住民によれば「盗みが増えた」というのだ。
 もともと外地からの流入人口が多い上海では、窃盗行為は決して珍しい犯罪ではなかった。
 しかし、「最近はこれまで以上に身の危険を感じるようになった」(上海市在住の主婦)という。

 市内の病院に勤務する医療事務の女性も被害者の1人だ。
 「寝ている間に、リビングルームに置いていたスマートフォンが盗まれた」と言う。
 別室にいた女性に危害はなく、「命を狙われなかっただけ不幸中の幸いだった」(同)。

 仕事を失った外省出身者が食いつなぐために犯罪に手を染める。
 そんな兆しが表れているのかもしれない。

 上海を中心とする長江デルタには多くの外資企業が進出した。
 駐在員に帯同してくる家族も増え、地元の雇用増に貢献した。
 高級飲食店のホール係、マッサージ師、ベビーシッター、お抱え運転手、中国語教室の講師や通訳などの活躍の場を生み、雇用された従業員は安定した生活を築くことができた。

 しかし今、中国への進出を目指す外資企業は減少傾向にある。
 対中直接投資額のトップ5(香港を除く)はシンガポール、台湾、日本、韓国、米国だが、
 2014年、韓国を除いた4つの国・地域からの直接投資は前年を大きく割り込んだ。

 中国経済の牽引役と言われた長江デルタでも、賃金高騰を理由に外資製造業の撤退が進んでいる。
 日系工場が集中する蘇州でも工場の閉鎖は少なくない。
 撤退に拍車がかかっているのか、
 「日本人街と言われる蘇州商業街では日本人をあまり見かけなくなった」
と、現地の日本人経営者は話す。

 日系工場は反日デモの標的にされながらも、地元社会からそれなりに歓迎されてきた。
 「法律に則った経営」をする日系工場は、労働者たちにとって「安定した職場」だったのである。
 日系工場の閉鎖は地元の労働者たちにとって大きな打撃となっている。

上海株が再燃しているが・・・

 最近は、ある程度の教育を受けた「知識人」ならば誰もが「中国経済は楽観できない」と警戒するようになっている。
 習近平政権による汚職官僚の逮捕劇は国民の溜飲を下げたものの、それで満足してはいない。

 筆者は、年金生活を送っているある上海人男性を訪問した。
 “知識人”であるこの男性は将来を悲観してこう語る。
 「汚職官僚を捕まえなければ国は終わるが、捕まえても国は終わる。
 汚職だけ叩いていても限界がある。
 中国の政治の機能不全は、突き詰めれば突き詰めるほど根深い問題で、もはや手が付けようがない」

 その男性は、人民解放軍のナンバー2で今年3月に膀胱癌で死去した前中央軍事委員会副主席、徐才厚氏の話を始めた。
 徐氏は「重大な規律違反」として党籍が剥奪されていたが、なによりも国民が注目したのは徐氏の桁外れの不正な蓄財だった。
 2000平米の豪邸の地下の一室には人民元や外貨が詰め込まれていたという。
 男性は、
 「毛沢東時代には農民と軍人は金を持たなかったはずなのに、今ではこのざまだ」
と苦々しげに話す。

 経済成長の過程で生じた富の再分配のアンバランスは、結局、野放しのままだ。
 相続税導入の議論もあったが、「もともと土地は国有」という前提の前にいつの間にか立ち消えになった。

 株式市場でも、痛い目を見るのはいつも一般市民である。

 3月末、上海株式市場の総合指数が7年ぶりに高値を付けた。
 4月20日には、習近平国家主席がパキスタンを訪れ、「一帯一路」構想のモデル事業を打ち出した。
 港湾、エネルギー、インフラ、産業協力が核心事業に据えられ、新聞の株式市況欄では、中国石油、河北鋼鉄、中国北車、上海電気など15社を超える銘柄が紹介された。

 一般投資家はこれに反応しているが、行き着く先は目に見えている。
 「乗り遅れるな」というあおり文句に乗せられて、虎の子を巻き上げられるいつものパターンである。
 再燃する株式市場だが、売り抜けられるのは一部の投資家だけだ。

「今が買い」と市場をあおる不動産業者

 中国政府は相変わらず「景気はこれからよくなる」と国民に期待を抱かせようとしている。
 それは、まるで医師が瀕死の患者に「あなたは大丈夫。まだまだ未来があるのだから頑張って」と声をかけているようなものだ。
 そして、その場しのぎの延命措置を取る。

 2014年は杭州の不動産下落を発端に、中国の70の大中型都市の新築住宅価格の上昇率が鈍化した。
 政府は景気減速への危機感から住宅ローン規制を緩和させ、頭金の比率を従来の6割から4割に下げる手を打った。

 住宅購入のハードルが下がったことで息を吹き返したのが、上海市内の不動産業界だ。
 人通りの多い交差点に黒いスーツを着た若いセールスマンが立ち、中古物件を紹介するチラシを配っている。

 そして、「これは」と思う客に声をかける。
 「政府は不動産の新政策を打ち出しました。
 今が買いです。
 これから上海の不動産はもっと値上がりします」。

 そのチラシには、浦東の「公房」と呼ばれる中古物件の紹介もあった。
 「公房」とは日本の公営住宅に相当する開発物件である。
 見かけは同じ団地でも、メンテナンスを施さないので老朽化のスピードは日本よりも速い。
 そんな住宅につけられている値段は1平米当たり4万元という高値。
 日本円にしたら100平米で7600万円だ。

 2014年の中国の経済成長率が芳しくなかったのは、住宅販売の不振に原因がある。
 冷え込んだ景気を下支えするには、住宅市場を活性化させるのが早道だ。
 とはいえ、古びたアパートに4万元とは「暴利」としか言いようがない。
 上海の不動産価格は富裕層のマネーゲームでさんざん吊り上げられ、本当に家を必要とする新婚夫婦や実需層には、こんなはた迷惑な高額物件しか残されていないのだ。

一連の政策はその場しのぎの対処療法

 中国経済の歯車は完全に逆回転を始めてしまったようだ。
 “知識人”である前出の男性はこう語る。

 「中国経済はすでに末期的で、手が付けられない状況だ。
 それでも、政府は
 『中国は世界第2位の経済体』
 『他の国の経済はもっとひどい』
などと言って国民の目をあざむこうとする。
 今回の一連の政策も“モルヒネ投与”に過ぎない」

 中央政府の新シルクロード構想にしても、中国経済救済の期待がかかるが、生産過剰や産業構造の転換といった大本の問題解決にはなっていない。
 それどころか「バブル再燃」につながりかねない危険性を秘めている。

 中国が打ち出す景気回復策はどれも一過性の対処療法にすぎない。
 そのしわ寄せはまたしても一般市民に向かう。
 庶民が政治家の犠牲者になるという中国の歴史は再び繰り返されている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年6月4日(木) 7時59分
http://www.recordchina.co.jp/a110507.html

日本企業の中国脱出が急増、夜逃げ同然の経営者も
=韓国ネット「韓国企業は工場も技術も奪われ追い出された」
「ベトナムに行けばいい」

 2015年6月2日、韓国・聯合ニュースによると、中国に進出した日本企業の撤収がこのところ相次いでいる。
 1980年代以降、豊富な労働力と巨大な市場を狙い中国に続々と進出していた日本企業だが、ビジネス環境の悪化により事業を畳まざるを得なくなっているのだ。

 中には、夜逃げ同然で中国を去る経営者も。あ
 る日本人経営者は中国に進出し20年、最盛期には従業員200人を抱え、日本の大手アパレルに製品を納めていたが、ここ数年で実績が急速に悪化し、取引先への支払いもできなくなった。
 日本の本社も資金を出せず、ついには逃げるしかない状況に陥ってしまった。

 中国に進出した日本企業は2万社を超えるが、
 最近ではこれ以上の成長を期待できない
という雰囲気が支配的だという。
 中国の景気の鈍化、ここ5年間で2倍になった人件費、円安といった要素が日本企業を苦しめている。
 経済産業省の昨年7月の調査によると、
 2013年度に中国から撤退した現地法人は205社で、前年度を17社上回った。

これについて、韓国のネットユーザーからはさまざまなコメントが寄せられている。

「数年前は韓国企業も同じだった」
「それでも逃げられる日本はまだまし。
 韓国企業は工場や技術を奪われた上に追い出された」
「日本だけでなく、韓国人も夜逃げする経営者が多いらしい。
 ベトナムに行けばいいのでは?」

「それでも日本はまだ耐えた方。
 中国に進出した韓国企業は、ほとんど全部工場がダメになって夜逃げした」
「根拠もなく中国好況論を説く広告のような記事ばかりだったけど、現実を直視した記事が出てきた」
「韓国企業もこれを参考に!
 中国にこれ以上投資するなんてとんでもない。
 一日でも早く撤収するのが生きる道だ」

「僕の知人も、中国の安い労働力だけを求めて行ったけど、詐欺に遭って結局は逃げるように帰ってきた」
「使える物はすべて提供してくれるかのように誘致しておいて、後になって金を巻き上げるのが中国人のやり方。
 その実態を知らず、人件費が惜しくて中国に投資する韓国企業も、日本企業みたいになる」
「中国人が技術を学んで偽物を作ると、元の企業は廃業する」



サーチナニュース 2015/06/12(金) 06:36
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0612&f=business_0612_008.shtml

「世界の工場」中国に圧力
・・・東南アと「勝負にならぬ人件費」=広東省

 中国メディアの中国経営報は6日、世界の工場と称される中国において、ひときわ多くの工場が存在する都市の1つである中国広東省東莞市において、多くのメーカーが倒産していると伝え、東南アジアとの人件費の差は10倍に達している業種もあると伝えた。

 記事は、東莞市で電線を製造する企業の経営者の話として、「経営環境は極めて厳しい」と伝え、一部の統計として、2013年から14年にかけて東莞市では約3000社の工場が倒産したと紹介。
 さらに、倒産した工場のうち
約40%が電子計器のメーカーであり、
約20%がプラスチック製品メーカー、
約10%が金属製品メーカー
だったと紹介した。

 続けて、中国の中山大学嶺南学院の林江主任の話として、
 「ここ10年ほど、東莞市政府は製造業の高度化に向けた取り組みを行っているが、大きな成果は出ていない」
と指摘。ま
 た、東莞市の工場経営者の話として、
 「経営を圧迫している主な理由は人件費が絶えず上昇していること」
と伝え、国が給与の最低基準と残業手当の基準を定めたことが企業側にとって大きな圧力になったと報じた。

 さらに、人件費上昇を嫌い、東莞市の中小規模の工場の顧客だった日本企業や韓国企業は東南アジアへ工場を移転させていると伝え、
 ベトナムなどは1カ月の人件費が1000元(約2万416円)前後
だと紹介。
 一方の
 東莞市では工場労働者の1カ月あたりの人件費は4000元(約8万1600円)前後
に達すると伝えた。

 記事は、東莞市の服飾製造業の経営者の話として
 「人件費は一般の労働者で5000元(約10万2080円)、
 技術力のある労働者の1カ月あたりの人件費は8000元(約16万3000円)に達することもある」
と伝える一方、
 バングラデシュでは400-500元(約8166円-1万200円)ほど
で雇用することができると紹介し、人件費の差は約10倍に達していると指摘した。

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 資 料
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●2014/12/31 に公開
【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/【新唐人2014年12月31日】世界最大手の信用保険会社ユーラーヘルメスが、来年­中国企業の破産件数は大幅に増加し、およそ130社に相当する5%が経営危機に直面す­る可能性があると指摘しました。香港でも、来年の破産件数が上昇すると見られています­。また、台湾の経済誌「天下雑誌」が発表した調査報告によると、台湾の6割以上の企業­トップが中国の投資環境を「悪い」とみていることが明らかになりました。





中国の盛流と陰り

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