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東洋経済オンライン 2015年06月11日 中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長
http://toyokeizai.net/articles/-/72868
中国は暴落した「レアアース」をどう売るのか
1キロ150ドルが今はたった2ドルに
■なぜ米レアアース最大手は、追い込まれたのか?
6月2日、アメリカ最大のレアアース(希土類)生産企業であるモリコープ社が、「3250万ドル(約40億円)もの社債利払いを見送る」とのニュースが飛び込んできた。
米大手紙などによると、破産申請も準備しているという。
原因は世界のレアアースの約8割を占めるとも言われる中国が輸出緩和をしたことでレアアースの市況が悪化し価格が暴落、資金繰りに窮したからだ。
読者の皆様は、2010年9月、沖縄県の尖閣諸島での「中国船衝突事件」が発端となり、中国のレアアースの輸出が禁止されたことを覚えておいでだろうか。
この事件をきっかけに、日本にもレアアースが入らなくなった時期が1年以上続いた。
レアアースの国際市況は暴騰に次ぐ暴騰を記録したのだ。
ここらへんの経緯は東洋経済オンラインの「日本が中国に『貿易戦争』で勝った日」で書いており、ぜひ振り返っていただきたい。
その間、アメリカではモリコープ社が、オーストラリアではライナス社がレアアースの生産を緊急に立ち上げたこともあり、両社は一過性ではあるが大儲けをした。
当時は「中国以外のルートからの安定供給が可能になるならレアアースがいくら高くても仕方がない」と考えたから、日本にとっては「天の恵み」であった。
問題はここからだ。
それを受けて、モリコープ社は増産体制を整えるために強気の投資を敢行した。
われわれのような、レアアースの専門家に言わせてもらえるなら、実はモリコープ社の安易な経営方針に対しては常日頃不安感を抱いていたので「やっぱりそうか、思ったより早くその日が来たな」といった気持ちだ。
当時、日本政府はレアアースの緊急輸入を実現するための特別開発予算を国会に提出し、モリコープ社やライナス社に投融資をすることで安定供給体制を何とか確立したのを思い出す。
一方、ベトナムやインドやカザフスタンのレアアース鉱山の開発にも日本政府と大手商社は奔走した。
しかし、結果は思わしくなかったばかりか、なんのことはない、中国からは迂回ルートなどでレアアースがどんどん出てきたのである。
これまでも中国が価格を操作して、国際相場を吊り上げたことは何度もあるが、
中国以外の資源が市場に出てくると相場は暴落するのが常
であった。
■原油どころじゃない!レアアースの価格は75分の1に
「中国の輸出制限はWTO違反」とのWTO裁定(2014年8月)を受け、中国は今年からは輸出枠を廃止。
5月1日からはレアアースとタングステンとモリブデンの輸出許可証と輸出税も撤廃した。
そしてその後に起こったことがこれらのレアメタルの暴落だったというわけである。
実は数か月前からすでにその予兆はあった。
だが、今年5月になると堰を切ったように、多くの中国の輸出業者が(輸出許可証なしでしかも輸出税が免除されて輸出できるので)安値輸出を始めた。
ただでさえ中国の経済は行き詰まり感があったので、積みあがった滞留在庫を換金したい業者が安値輸出に殺到したのである。
それにつられて全てのレアメタルも弱含みで推移したが、その中でも特にレアアースの値崩れは激しかった。
例えば代表的なレアアースの一つである「酸化ランタン」は2011年には1キロ当たり150米ドルしていたのに、今年6月にはついに同2ドルにまで暴落した。
実に価格が75分の1になったわけだが、30年以上のレアメタルの取引経験がある私でも、商品価格がこれほど暴落したのは記憶にない。
WTOの精神とは自由貿易のルールを守り『国際貿易』を促進させることである。
そのため、基本原則である
「自由、無差別、多角的通商体制」
の実現を図ってきた。
自由貿易とは(関税の低減、数量制限の原則禁止)である。
無差別とは(最恵国待遇、内国民待遇)であり
多角的通商体制とは(保護主義的措置は許さない)こと
を指す。
ところが、原則の実現はそう単純ではない。
ルールを遵守するには「解釈の違い」もあれば「裏技」もある。
国際貿易の裏舞台はまさに「貿易戦争」であり、もっと言えば「産業戦争」でもあり「資源戦争」でもある。
今回の一連の問題は「レアメタル資源戦争」の特殊性を理解しないことから引き起こされたドタバタ劇だとも言える。
そもそも、 日本は世界一のレアアースの消費国であり、中国は世界最大の生産国である。
たまたま中国の漁船が日本の尖閣諸島で衝突事件を起こし、海上保安庁が「漁民」を拿捕したことが発端になり、中国はレアアースの輸出禁止を行った。
結果として、たった年間で12万トンしかない市場の90%以上を支配する中国は、輸出禁止の暴挙に出たのである。
当時、中国の政策を決定した官僚は素人でヒステリックな場当たり的な確信犯だった。
従って、一時的にせよ市況が大暴騰することは必定だった。
一方、「資源貧国」の日本はというと、大学教授などを利用して実現性に乏しいとしか思えない「南鳥島の夢の海底資源開発」などの情報をぶち上げるのが精一杯だったのである。
日本政府はレアアース開発の大予算を海外の資源開発に向けたが、それに乗ったのが大手商社や米国のモリコープ社、オーストラリアのライナス社だった。
私は「レアアース報道に潜むエネ庁と科技庁の温度差」(2013年4月10日)で、このままではモリコープ社が生産コスト割れとなり、同社が経営難に陥る危険性などを指摘したが、筆者は今がまさに、レアアースの歴史的な安値をつけている時だと確信している。
■中国は「日中協調」か、再び「悪行三昧」か
また、
「レアメタル、レアアース問題にはウソが多すぎる(同年4月24日)では、レアアースは日中関係の象徴であり、日本が環境技術(放射性物質の処理技術など)で協力する一方、中国も国内資源の安定的運用に加え海外のレアアース資源の開発を日本企業と協力しながら安全な開発に注力すればレアアース取引を安定化する事にもつながる」とした。
まさに、今レアアースの価格が最安値を付けようとしている時、日中ともレアアース産業の発展のために、真の知恵を出す時である。
さて、このあとはどうなるだろうか。
中国がレアアースの輸出を停止した時、モリコープ社は値上がりを期待して増産体制に踏み切り、価格暴落の憂き目にあったわけだが、
中国としては、中国以外の生産者を排除したいと考える
のは当然だ。
一方、価格下落に苦しむオーストラリアのライナス社も、今のレアアース市況が続くなら、遠からず銀行などに対するデフォルト(債務不履行)が起っても、何ら不思議ではない。
いやむしろ、両社ともいったんは「倒産」させて借金を事実上棒引きにして減資を行い、中国資本を含む他の企業による新たな経営に移行する可能性の方が高いのではないか、とも考えられるのだ。
これまでも、中国企業がモリコープ社とライナス社に出資するという噂は、マーケットでは出ては消えてきた。
だが今度こそ「背に腹は代えられない」ので、両社の新経営陣が中国の資本を受け入れる可能性も皆無ではない。
引き続き事態を注視して行きたい。
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東洋経済オンライン 2014年08月26日 中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長
http://toyokeizai.net/articles/-/46267
日本が中国に「貿易戦争」で勝った日
「レアアース紛争」から4年、中国「WTO敗訴」の意味
「日本が、中国に勝った――」。
女子サッカーや、女子バレーボールの話をしているわけではない。
8月7日にさかのぼるのだが、読者の皆さんは「世界的な機関」で、「ある重要な決定」が下されたことをご存じだろうか。
■中国に対する、歴史的な勝利の意味
ある重要な決定とは何か。中国に対してWTO(世界貿易機関)が下した決定である。
2012年3月、日米欧は「中国が、レアアース(希土類)、タングステン、モリブデンに関して、不当な輸出制限をしている」として、WTOに提訴。
これに対して、中国は環境や天然資源の保護などを理由に、輸出制限が正当なことを主張してきた。
実は、今年3月にはWTOの「紛争処理小委員会(第1審に相当)で中国が敗訴。中国は提訴したが、8月7日、上級審にあたる紛争処理上級委員会でも、「中国の輸出制限は、国内産業を恣意的に優遇する政策である」と断定、日米欧の訴えをほぼ全面的に認めたのだ。
WTOの紛争処理は2審制なので、日本を含む日米欧の勝利が確定した、というわけなのだ。
最終的な上級委員会の報告書は、8月29日に開催されるWTO紛争解決機関会合において正式に採択される見込みだ。
同日は貿易紛争史において、歴史的な1ページを飾ることは間違いない。
では中国側の敗訴によって、何が起きるだろうか。
結論から言えば、EL(輸出ライセンス)制度の撤廃と、輸出税の撤廃は避けられない見通しだ。
長期的に見れば、中国からのレアメタルの輸出ドライブがかかり、供給の安定化が期待できそうだ。
一方、短期的には国際市況の暴落や混乱も場合によってはあり得る。
さて、「日本が中国に勝った」という一節で、なんとなく読んでみたくなった方も少なくないだろうから、一連のレアアース紛争と中国の不当な規制について、簡単に振り返ろう。
中国は2006年頃からレアアース、タングステン、モリブデンに不当な輸出制限や過大な輸出税を賦課し、明らかな「WTO違反」を繰り返してきた。
この事態がエスカレートしたきっかけをつくったのが、2010年の9月に起きた沖縄県の尖閣諸島での「中国船衝突事件」だった。
この事件をきっかけに、中国が外交カードとしてレアアースの対日輸出の禁止措置に出た。
これでにわかに供給不安を懸念する声が高まり、その後、レアアースの市況はなんと10倍以上に跳ね上がった。
結局、その混乱は東日本大震災直後の2011年の7月まで続いた。
日本は中国の商務省に対するEL制度の停止と輸出税の不当な賦課撤廃を求め、2012年3月、正式にWTOに提訴した。
だが中国との協議は、空回りして機能しなかった。
そこで、同年6月に米国とEUと一緒にWTO紛争処理委員会(パネル)の設置を要請。
2013年2月と6月には口頭弁論が開催された。
今年3月に「第一審」に中国が敗訴したのは上述の通りだ。
中国は容易に屈しなかった。
環境や資源保護を言い訳に2014年4月にWTO上級委員会への上告を行ったが、これらは明らかな時間稼ぎと無意味な主張だったのだ。
2010年から足掛け4年、2012年3月からカウントしても、約2年半もかかって、問題はやっと解決したかに見える。
■それでも、問題は解決しない?
もちろん日本としては、中国が報告書の勧告を早期に履行し、WTO協定に整合しないと認定された措置を速やかに是正することを求める。
だが、先行きは不透明な部分もあり、本当の問題はこれからである。
というのも、実はWTOの是正勧告には実質的なペナルティー条項がない。
いくら勧告をしても、中国がそれを無視すれば、実質的には何の意味もないのである。
もし、ルールを守らないなら「中国はWTOから離脱してくれ」ということになる。
だが、巨大化した中国の存在を考えるとそういうわけにもいかない。
相手国(この場合、日本と米国とEU)は違反国に対して対抗措置として、高い輸入税を賦課する権利を持つ。
だがレアアースなどの資源の大半を有する中国に対して、レアアースの輸入税を高くすると、逆に市況が高騰して中国側の「思うツボ」になる。
実際には「押す手」が、なかなかないに等しいのだ。
もとより、中国のレアアース資源の供給量は世界の95%を占める。
タングステンは86%、モリブデンも29%といずれも世界ではNo1シェアだ。
だからこそ、中国はレアメタルやレアアースを外交カードとして利用、今も日本の足元を見ながら「姑息」な手を打ってくるのである。
■昨日の友は、今日の敵なのか
そもそも、一昔前のレアアースは、用途もあまりなく、せいぜいライターの火打石やガラスの添加剤にしか使わなかった。
私が1979年ごろから中国から開発輸入をしたのが日中間の本格取引の幕開けだったが、当時はいくら資源があっても技術力もなかった中国にとっては、もて余してきた材料だった。
だが2000年以降になると状況はがらりと変わった。
ハイブリッド車のモーターや電池に大量に使われるようになった。
携帯電話やパソコン、家電製品向けでも需要が拡大していったため、レアアースが国家戦略に組み込まれるようになったのだ。
昔は、レアメタルやレアアース原料を対日輸入しても毎回クレームになったものだ。
だが、中国側も、徐々に安いだけではないとわかってくれた。
それに伴い、熱心に品質の向上を目指してくれる、中国の精錬工場との取引が成功しはじめた。
つまり、日本で再処理をしなくても、充分使用できる品質が確保できるようになってきたのである。
ここには、世界一厳しい日本の環境規制に合致させるために、技術交流を通じて中国の現場に最先端の処理技術を持ち込んだ、技術者たちの努力があった。
その意味でも、日本は、中国の産業界に多大なる貢献をしたといえる。
話を現代に戻そう。
「3品目のWTO協定違反」確定後、中国には徐々に変化も起こりつつあるようだ。
確かにWTOには強制力はない。
だが、実は中国は他国の保護主義に対しては、別途WTO違反とクレームをつけている。
よって、
「中国だけ、ルールを無視するわけにはいかない」
ことも、政府レベルでは理解している。
例えばインドネシアのニッケル鉱石の輸出禁止については、日本と協力してWTOに提訴している。
また、EUが中国製の太陽光パネルに反ダンピング関税を課す仮処分に対して、中国は欧州産ワインのダンピング調査に乗り出している。
このことからもわかるとおり、通商紛争は激化の一途をたどっているから、レアアースやレアメタルだけでミソをつけるわけにもいかないのだ。
とはいえ、中国に足しげく通っていると「対抗措置を講じるかもしれない」との噂も聞こえてくる。
例えば、「レアアースの輸出制限枠の撤廃」を2015年からに、「輸出税の廃止はさらに先延ばし」しながら、同時にレアメタルやレアアースの資源税を導入することで、事実上、WTOの敗訴に対抗を企てようというのだ。
すでに、早耳を持つ鉱山や精錬工場関係にの「資源税を何%にするか」という裏情報まで入っており、すでに対応した形で投機をしようとしているらしい。
すでに中国当局はレアアースの緊急備蓄も行っているし、タングステンの政府備蓄の時期まで噂が噂を呼んでいるので、ギャンブル好きの中国人投資家は、雲南省のレアメタル取引所のコモディティーを購入する用意をしているという。
多くの日本人は、こうした、中国のような「徹底抗戦」をするような発想はもともとない。あくまでWTOルールを順守しながら相手方の対応に期待する、紳士的対応に終始せざるを得ないようだ。
中国には、「国内の産業政策であるからWTOでは問題視できないだろう」との思惑が見え隠れしており、ルール違反ギリギリのところでせめぎ合いが行われるため、通商紛争は激化こそすれ、収束は難しいのかもしれない。
今回、中国に対するWTO違反の告発を行った経済産業省の、この2年半の努力は評価できる。
だが、中国が相手だ。
相手が相手だけに油断してはならない。
中国の商務省が、これで素直に政策をルール通りに是正することはあり得ない。
中国は必ずレアアースやタングステンやモリブデン以外でも、別の姑息な手を打ってくることを予見している。
例えば、今回のWTO裁定を受ける見返りに、日本に環境技術の無償提供を要求してくるかもしれないのだ。
例えば、磁性材料関連の日本メーカーが広東省に進出することを決めているが、環境技術のみならず磁性材料のノウハウの開示や特許の公開を条件に、日本企業の中国進出を認めることなども考えられる。
とはいえ、私見ではあるが、たとえ今後中国に対して実質的に打つ手はないことも承知の上で、今回のWTOの日本の勝利は大変意味深いと考える。
日本もアメリカもEUも、今後中国からの消費財の購入が減ることを計算に入れている。
一方、中国の人件費が高騰することで、「世界の工場」の強みは減衰している。
まして、不動産バブルは終焉に向かっており、理財商品の破綻などから深刻なデフォルト(債務不履行)が今後頻発するかもしれない。
バブルは長引けば長引くほどその規模は膨れ上がるわけで、
最悪の場合は2008年のリーマンショック級かそれ以上?の危機
が来る可能性があることを、覚悟しておいた方が良いだろう。
■WTO紛争で冷え込む関係になるべきではない
もちろん、日本も中国に対して、今後は一段と、ある意味で「気前よく技術を提供する」ことはなくなるだろう。
日本はアメリカほど露骨に相手と貿易抗争をすることはないが、対中国対策では今回のように、米国とEUを引きずり込んでWTOの裁定で完全勝利をしたことは意義深いことである。
良し悪しは別にして、中国の経済力には相対的な陰りが出ているのは否めない。
一方、米国とロシアの関係も悪化しそうな状況を見ているとあながち巷間言われる「第二次冷戦構造」といえなくもない。
とはいえ、こうした環境下では、日本の地政学的位置づけを考えると、上述のような「第二次冷戦構造」が仮に明らかになるとしたら、どうなるだろうか。
筆者は、対中ビジネスでの長い経験から、日本と中国の関係は、本来は、補完関係にあると考えている。
本来なら、必ずや双方が協力して平等互恵の関係で助け合わなければならないと考える。
元来は、「仲の良い友人」なのだから、ここは「嫌なこともいえる関係」にならないといけない。
中国の文化をよく理解して、脅威と弱みを突く。もし世界が新たな冷戦構造に向かうなら、日本にとっては、むしろ世界経済での比較優位状況を構築することになる、大チャンスでもあると思うのだ。
』
『
サーチナニュース 2015/06/17(水) 06:18
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0617&f=business_0617_005.shtml
レアアースで「高付加価値」追求!
・・・産業の「底上げ」実施案=中国メディア
中国メディアの観察者は12日、中国財政部や国家工業信息部が10日に中国のレアアース(希土類)産業の高度化に向けた実施案に同意したと伝えた。
記事は、レアアースを使った新材料や応用技術の研究開発および産業化に向け、中国財政部や国家工業信息部は10日、2015年から3年間で10億元(約200億円)を拠出する計画に同意したと紹介。
さらに、中国財政部などがこのほどレアアース産業の高度化に向けた実施案を同意したことは
「中国政府のレアアースに対する管理が今後さらに規範化し、簡単な加工だけで輸出されるという現状から脱却できることを意味する」
と指摘。
さらに、高度化によって今後の中国産のレアアースは
「これまでより多くの価値を生み出すことになる」
と期待を示した
続けて、これまで数十年間にわたって中国のレアアース産業は価格決定権を諸外国に握られ、大きな利益を得ることができずにいたと主張し、国外のメーカーは中国国内に投資を行い、産出されたレアアースに簡単な加工を行った後に輸出することで暴利を貪っていたと主張した。
また記事は、レアアースの価値は石油にも劣らないとしながらも、
「中国はそれに見合うだけの見返りを得ることができていない」
と指摘。
中国はレアアースの生産量で世界一であるとしながらも、産業チェーンにおいてもっとも付加価値の低いポジションでわずかな利益しか得られていないと紹介し、
「レアアースを活用した技術に乏しい中国は、諸外国が所有する特許によって制限を受けることも多い」
と論じた。
』
『
サーチナニュース 2015/06/26(金) 06:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0626&f=business_0626_009.shtml
レアメタルの「新国際秩序」を樹立せよ!=中国メディア
中国メディアの「毎日甘粛」は18日「伝統的な産業チェーンを改造し、レアメタルの新国際秩序を樹立せよ」と題する論説を掲載した。
中国ではかなり古くから、
「現在の国際秩序は欧米列強が定めた。
中国にとって不利」
との論調があった。
同論調は2010年ごろから、さらに強まりつつある。
「毎日甘粛」はレアメタルの大産地であり輸出国である中国が、極めて少ない利益しか得られていないと指摘。
大きな理由としては、レアメタルを扱う企業に体力がなく、各社が自社の利益だけを考えて、力を合わせることができていないと論じ、自国側の問題点を認めたが、国内環境を整備することで「現在の国際秩序を変革せよ」と強調している点で、「自国が不当な立場に置かれている」との濃厚な被害者意識を示している。
日本も中国も、いわゆる「国際社会」に組み込まれたのは19世紀だった。
しかし両国は対照的とも言える反応を示した。
★.日本はかなり早い段階で、西洋列強の定めた「国際的ルール」あるいは「国際法」を学び、自国ができるだけ有利な立場に立てるよう努力した。
★.中国の場合は、自らが数千年をかけて形成した「中華的秩序」から脱却することに、相当に手間取った。
そのために、より多くの「損」をすることになった。
その点で、中国の主張にも「一理はある」と認めてよい。
ところで国際法や国際習慣は不変のものではない。
最も決定的なのは「大国」や「主要国」の意向だが、国際世論が動けば、自国の望む方向に変化させていくことは可能だ。
もちろん、
★.自己主張を繰り返すだけでは、他国の不信感を増大させるだけ
だ。
中国は経済規模が巨大になったことで、自国の主張が通りやすくなったと認識するようになったかもしれない。
しかし、中国経済の急成長をもたらした改革開放政策の基本的発想は「中国は世界を必要としている」だったはずだ。
仮に現在の中国が
★.「世界は中国を必要としている」と過信しはじめたとしたら、多くの国が中国に背を向けることになる。
中国が、自分の望む方向に世界を動かそうとしたら、そのための“王道”は、経済力や軍事力をつけるだけでなく、さまざまな方面で「信頼される国」、「尊敬される国」になり、国際的な影響力を高めていくことだ。
★.しかし現在の中国には、他国が納得できない言動も多い。
そのため、自国に有利な国際世論の形成も、かえって困難になっているとみなさざるを得ない。
』
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レコードチャイナ 配信日時:2015年7月12日(日) 5時8分
http://www.recordchina.co.jp/a113641.html
世界のレアアース需要が減少、
中国の影響力が大幅に縮小―海外メディア
2015年7月9日、参考消息網は海外メディアの報道を引用し、世界のレアアース市場における中国の影響力が大幅に縮小したと報じた。
米CBSはこのほど放送したレアアースをめぐる番組で、中国が市場を独占しているような取り上げ方をしたが、米誌フォーブスは「このような分析は間違いだ」と指摘する同国の専門家の文章を掲載した。
専門家は
「中国のレアアース生産量が世界全体に占める比率は数年間で97%から86%に縮小した」
と述べ、
「中国はかつて自身の市場影響力を試そうとしたが無駄に終わった」
と話している。
中国政府が2010年に行ったレアアースの輸出制限で価格は上昇したが、その結果、海外では新たな鉱山を探す動きが広まった。
また、レアアースを必要とする企業はこれに代わる材料を見つけ出し、技術力の向上もレアアースの需要量削減につながった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは
「レアアース価格は過去5年で当初の10分の1に下落。
市場規模は170億ドル(約2兆400億円)から10億ドル(約1200億円)前後に縮小した。
今年初めに中国は輸出制限を撤廃したが、輸出枠を残したままの状態だった」
と報じている。
レアアースの重要性が下がったことで米大手のモリコープは倒産。
負債は17億ドル(約2040億円)に上り、レアアース業界の好調を見込んだ投資家にも影響が及んだ。
2011年当時、アナリストの間からは
「2015年までに世界のレアアース需要は年20万トン以上のペースで伸びていく」との見方が出たが、過去数年の世界の生産量は年11万トン程度だった。
独テレビ局はこの状況について「市場に対する過大評価は深刻」
と報じている。
』
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サーチナニュース 2015/07/31(金) 06:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0731&f=business_0731_005.shtml
戦略資源のレアアース
・・・「安売り」は災いをもたらす!=中国メディア
中国メディアの新華網によれば、内モンゴル自治区の2015年上半期におけるレアアースの対日輸出が前年同期比130%増となる一方、輸出平均価格が大幅に下落したことが現地の税関当局の話で明らかになった。
中国メディアの捜狐は29日、
「戦略資源のレアアースを安売りすることは国に災禍をもたらす行為である」
と批判した。
記事は、新華網の報道を引用し、内モンゴル自治区の15年上半期におけるレアアース輸出量が急増する一方で、輸出平均価格が大幅に下落していると紹介。
上半期の平均輸出価格が1トンあたり3万2000元(約63万6000円)で同34.7%減となり、とくに6月には同2万9000元(約57万6000円)と前年同期比で34.1%減、前月比でも4%減だったと伝えた。
続けて、レアアースがハイテク製品にとって必要不可欠な物質であることを紹介する一方、中国がこれまでレアアースを国外に輸出してきたことについて
「貴重なレアアースを取るに足らない額で売り続けてきたことは巨額の利益流出と同じことだ」
と主張した。
さらに、レアアース鉱石は放射性物質を含むことが一般的で、採掘時には環境汚染を予防するための処理が重要となることを指摘し、
「中国はこれまでレアアースの輸出のために環境に取り返しのつかない負荷をかけ、大きな代価を支払ってきた」
と主張。それにもかかわらず、
「なぜ中国はレアアースを取るに足らない額で売らなければならないのか」
と疑問を呈した。
また記事は、中国は世界のレアアース市場において生産や輸出といった分野で「世界一のシェアを有している」にもかかわらず、価格を決めるうえでの主導権を持たないと不満を示した。
さらに、
中国がレアアースを安値で輸出を続ける背後で韓国や日本は大量にレアアースを貯蔵
しているとし、
「日中間で武力衝突が起きれば、日本はレアアースを兵器に用いるだろう」
と主張、中国にとって非常に脅威となるなどと主張した。
』
【中国の盛流と陰り】