2015年8月31日月曜日

中国経済の行方(15)::中国経済の全貌が不透明、企業の債務は2000兆円、忍び寄る深刻な「債務デフレ」

_


サーチナニュース 2015/08/31(月) 14:20
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0831&f=business_0831_051.shtml

中国経済の全貌が不透明!? 
「国有3銀行」の業績で推察=中国メディア

 中国メディアの騰訊財経は29日、中国人に国外での投資関連情報を提供している企業の調査結果を引用し、中国人投資家がもっとも懸念しているのは国有企業の改革や人民元の切り下げでもなく、中国経済の鈍化だと論じた。

 記事は、中国の投資家たちは中国経済の鈍化に対して懸念を高めているとしながらも、
★.中国経済が今、どのような状況にあるのかについて、全貌をはっきりと示してくれる専門家もいなければ、データもない
と主張。
 一方で、銀行は中国のあらゆる産業に関わりを持っているとし、中国大手銀行の融資規模や業績から、中国マクロ経済の状況をある程度読み取ることが可能だと論じた。

 続けて、中国の5大銀行のうち、3行がすでに2015年の中間決算を発表したと紹介し、中国工商銀行および中国農業銀行の業績の伸びはそれぞれ、前年同期比0.7%増、0.5%増にとどまるなど予想を大きく下回ったと指摘。
 5大銀行のうち規模が小さい中国交通銀行だけは同1.7%増だったとした。

 さらに、中国経済の鈍化によって大手銀行の業績の伸びが大きく鈍化しているうえに、不良債権の規模も明らかに拡大しており、
 「中国経済において悪性の循環が続いていることは懸念すべき事態」
と指摘した。

 また、2010年における中国の5大銀行の業績の伸びは平均30%以上だったとしながらも、15年の中間決算では中国工商銀行および中国農業銀行の伸びは1%を割ってしまったと指摘。
 英国の金融誌「ザ・バンカー」による世界の銀行ランキングにおいて、資本力で世界一の銀行とされた中国工商銀行だが、その成長速度は哀れなほどまで落ち込んだと論じた。

 さらに記事は、中国の大手銀行の業績の伸びが大幅に鈍化しているのは、中国経済の鈍化が理由だとし、中国の中央銀行である中国人民銀行が景気対策として利下げを繰り返していることにより、各銀行も融資での利幅が縮小していると指摘。

 また、中国の5大銀行はいずれも国有銀行であり、中国国内の融資における大部分を担う存在だとし、
 「その5大銀行の経営状況は中国経済の発展状況を示す指標となる」
と指摘したうえで、各行とも不良債権が増加しており、特に15年上半期には不良債権比率が大幅に上昇したと指摘した。

 さらに記事は、中国農業銀行の不良債権に関するデータをもとに、
 「同行の不良債権比率が急増している地域は主に中国西部および長江デルタ地域である」
と指摘。
 また、業種としては製造業、卸売業、建築業、鉱業において不良債権比率が高まっていると伝え、こうした傾向は中国工商銀行および中国交通銀行にも共通していると論じた。
 また、長江デルタ地域は深センや広州、香港、佛山といった大都市が集まる地域であり、
 「中国経済の成長を支えてきた地域の経済が悪化していることを示すもの」
と論じた。



時事通信 2015/8/31 17:59
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150831-00000084-jijnb_st-nb

地方債務が大幅増=景気対策の足かせ―中国

 【北京時事】
★.中国の地方政府債務が大幅に増えていることが分かった。
 地方債務問題は「中国経済最大の弱点」と言われ、金融危機を招く可能性も再三指摘されてきた。
 世界株安連鎖の震源地となった中国は景気のてこ入れが急務だが、当局は債務増大を抑制する方針で、追加の景気対策には重い足かせとなる。

 国営新華社通信などによると、
★.2014年末時点の広義の地方政府債務残高は24兆元(約456兆円)
 中国の会計検査院に当たる審計署が公表している
 13年6月末時点の債務は17兆9000億元で、単純比較すると1年半で34%も増えた計算だ。
 景気対策の実施などが背景とみられる。

 地方債務の国内総生産(GDP)比率は38%に悪化。
 債務全体のうち、地方政府が直接の返済責任を負っているのは15兆4000億元で、残り8兆6000億元にも事実上の政府保証などを付している。

 中国当局は08年のリーマン・ショック後、世界的な金融危機の影響を最小限にとどめようと、大規模な景気対策を打ち出した。
 地方政府によるインフラ投資が柱で、傘下の投資会社を通じて資金を調達。
 通常の銀行融資と異なる「影の銀行(シャドーバンキング)」をフル活用した。
 その時の債務が今、重くのしかかっている。

 高金利で借り入れた資金の返済負担を軽減しようと、当局はこのほど、借り換え目的で発行する地方債の限度額を2兆元から3兆2000億元に引き上げると明らかにした。
 地方債は当局の意向で金利を低めに抑え、国内金融機関が引き受ける。
 また当局は、地方政府が直接の返済責任を負う債務について、15年末残高を前年比6000億元増の16兆元に抑える方針。
★.債務懸念が払拭(ふっしょく)されない限り、
 大規模な景気対策は控えざるを得ない
ようだ。 



東洋経済オンライン 2015年08月31日 西村 豪太 :週刊東洋経済 記者
http://toyokeizai.net/articles/-/82220

中国の金融緩和は、なぜ不発に終わったのか
そして忍び寄る深刻な「債務デフレ」

 年明けからバブル的に上昇してきた中国の株価は完全に振り出しに戻った。
 上海総合指数は8月24日、25日と2日連続で大幅に下落し、2014年12月以来の3000ポイント割れとなった。

 中国メディアは8月25日、証券大手である、中信証券の徐剛総経理(社長)が公安当局の取り調べを受けていると報じた。
 違法取引がらみとされているが、具体的な内容は明らかではない。

 有力経済誌『財経』の記者もこの日に連行された。
 この記者が7月20日に報じた「当局が株価下支え策の縮小を検討中」という趣旨の記事が問題視されたもよう。
 とにかくスケープゴートを作ろうとしている印象だ。

中央銀行が即座に利下げ発表



 一方、同日夜に中国人民銀行(中央銀行)は、追加金融緩和策を発表。
 政策金利は26日から0.25ポイント引き下げられて4.6%とされた。
 銀行に義務づけられている預金準備率についても、9月6日から0.5ポイント引き下げられることになった。

 メディアに強権をちらつかせて服従を迫りながら、切り札である金融緩和を素早く実行。
 が、翌26日の上海総合指数は1.3%安の2927ポイントとなり、その後も当局の思うようには戻っていない。
 6月以降の大幅な株価下落局面で、当局は買い支えのために大手証券会社を動員し、警察が「悪意あるカラ売り」を取り締まるなど、さまざまな手立てを講じて大台とされる4000ポイント台に回復させた。

 結果、
★.中国の株式市場は当局が極端な手段で介入する市場である
 ことが、世界中に知られるようになった。
 ところが今回、テコ入れがまるで効かないことは
★.「よほど経済のファンダメンタルズが悪いのではないか」という疑念
を抱かせる。

 実際、景気の低迷は明らかだ。
 8月21日に発表された、中国製造業PMI(購買担当者景気指数)の8月速報値は47.1と、7月の47.8を下回り6年半ぶりの低水準となった。
 同指数は50を切ると景気後退を示唆するといわれており、8月まで6カ月連続で50を割り込んでいる。

 デフレ圧力も高まっている。
 7月の卸売物価指数は前年同月比5.4%と大きく落ち込み、41カ月連続のマイナス。ここに企業活動の停滞ぶりがはっきり表れている。

■企業の債務は2000兆円

 中国は8月11日に人民元の基準値設定のあり方を見直し、対ドルレートは元安の方向に振れた。
 介入で元安を止めるという従来の政策を転換した背景には、元買いが金融引き締め効果をもたらし、デフレ阻止のための金融緩和と矛盾するという、構造問題がある。
 その交通整理を行うことで、さらなる緩和の地ならしができていた。

 預金準備率の引き下げと利下げを同時に発表した8月25日、人民銀行の発表文には、「企業の資金調達コストを下げるため」と記された。

★.中国の非金融企業(地方政府の資金調達機関である、地方融資プラットフォームを含む)の
 債務残高は、2014年末時点で99.7兆元(約2000兆円)だ。
 GDP(国内総生産)に対する比率は、156.7%にも達する。
 これは日本のバブル期(1989年に132.2%)をも上回る水準である。

 日本総合研究所の関辰一・副主任研究員は
 「金利を6%、返済期間を10年と仮定すれば、
 毎年の元利支払い負担は16兆元(約320兆円)に及ぶ。
 金融緩和があっても、企業は設備投資より、バランスシート調整を優先する可能性が高い」
と見る。
 実際、人民銀行が発表している企業の資金需要を表す指数は、金融緩和が始まった14年冬以降も、低下の一途をたどっている。

 日本ではポストバブル期の91年に金融緩和に転じたものの、企業の設備投資の回復にはつながらず、「バランスシート不況」が長期化した。
 現在の中国も、そのとば口に立っている可能性がある。

■行き場のない資金が不動産へ?


●(出所)中国国家統計局

 潜在成長力が落ちている中で金融緩和を継続すれば、資産バブルをいっそう膨らませるおそれがある。

 2014年半ばからすでに総崩れの様相を呈していた不動産市況は、今年の春から回復傾向だ。
 内陸部の都市で低迷が続く一方、深センなど沿海部では突出した上昇が見られる。
 株式市場の低迷を受けて、行き場のない資金が実勢以上に価格を押し上げている、という懸念はぬぐえない。

 こうした状況で
 景気を刺激する最終手段は、中央財政によるインフラ投資の拡大
だろう。
 9月には、G20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議や、習近平国家主席の訪米が控えている。
 世界経済の中での存在感を示すという意味合いからも、中国が財政出動に打って出る可能性が高まっている。

 だがそれは、08年のリーマンショック後に中国が総額4兆元もの景気対策を打ち、地方政府の財政を悪化させた失敗の二の舞いになりかねない。
 財政頼みで景気刺激を繰り返すようになれば、日本がたどった道に重なる。

 結局のところ、国有企業改革など生産性向上のための地道な取り組みしか、活路はない。そのために残された時間は決して多くない。

(「週刊東洋経済」2015年9月5日号<8月30日発売>「核心リポート01-2」を転載)




●【高橋洋一】 あさラジ!2015年08月29日 中国の成長率はー3%! もう中国が浮上することはない!!!
2015/08/29 に公開





中国の盛流と陰り


_