2015年7月8日水曜日

中国市場バブル崩壊(1):2015年バブル崩壊説は当たるのか?、市場リスクの主役は中国、「来るべきものが来た」のか? 

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●中国・浙江省杭州で、株価の電光掲示板を見つめる投資家ら〔AFPBB News〕


ロイター 2015年 07月 8日 23:03 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI1OO20150708/

中国、大量保有株主の株式売却を半年間禁止

[北京 8日 ロイター] -
 中国証券監督管理委員会(CSRC)は8日、持ち株が5%以上の株主を対象に向こう6カ月間、株式売却を禁止する措置を発表した。

委員会はウェブサイト上で、規則に違反した株主には厳正に対処すると述べた。

8日の中国株式市場はパニック売りで全面安となり、4カ月ぶりの安値に下落。
大型株中心で深セン上場銘柄を含むCSI300指数は6.8%、上海総合指数は5.9%、それぞれ値下がりした。



ロイター 2015年 07月 8日 13:49 JST James Saft
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0PI0BJ20150708

コラム:中国の「株価PKO」が効かない理由

[7日 ロイター] -
 中国当局が相次いで打ち出した異例の株価支援策
★.それがうまく行かないと考えるのは、勇気があり余る投資家だけだろう。
★.一方、それがうまく行くと考えるのは、愚か者だけだ。

 今の中国株に関して選択の余地があるなら、正しい態度は傍観者として様子を見守ることだ。
 なぜなら、株式市場の急落に直面した中国当局は、一連の強力な対策で売り手を威圧しようとしており、それらは株価にとっては支援材料だが、現実と株価のかい離をもたらすからだ。

 6月12日以降に上海総合指数が約30%下落したのを受け、中国当局は今月4日から立て続けに株価の下支え策を発表。
 中国の大手証券21社は、相場を下支えするため総額1200億元を株式投資に充てると発表。
 中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だという。

 さらに中国株式市場への上場を計画していた28社が4日、株式新規公開(IPO)を中止すると明らかにした。

 これらの対策が打ち出される直前には利下げも行われていたが、どちらも株式市場の下落を食い止めるには至っていない。

 中国当局はまた、株式市場の空売り筋にも怒りの矛先を向けており、「相場操縦」の可能性を調査すると表明した。

 彼らは明らかに、自らを自国資本市場での最後の買い手と位置付けようとしている。
 株価支援資金の多くは、当局の意向に依存し、
 当局の期待に応えることが求められている機関に流れ込んでいる。  

<日本のPKOの教訓>

 週明け6日の中国市場は、上海株が支援策を好感して2.4%反発した一方、本土当局のコントロールが及びにくい香港株は3.2%下落。
 1日の下落率としては2012年5月16日以来3年ぶりの大きさとなった。

 中国当局は明らかに、積極的な金融緩和や発言などを通じて相場を下支えする「バーナンキ・プット」や「ドラギ・プット」のような考えに傾注している。
 しかし、一連の株価支援策は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁のやり方をはるかに超越している。

 また中国当局には、輸出主導型経済から消費主導型経済への転換を株価上昇を通じて促したいという意向もある。
 足元の株価急落は、こうした経済モデルの転換を台無しにし、それによって中国政府の威光を曇らせる可能性もある。

 現在の中国の株価支援策と、1929年にJPモルガンなどウォール街の銀行が取り組んだ相場暴落阻止策(結局は失敗に終わった)には、いくつかの類似点はある。
 ただ、どんなコストもいとわない中国のやり方は、やはり別物と言えるだろう。

 おそらく歴史的に最も近いのは、1992年に日本政府が取った株価維持策(プライス・キーピング・オペレーション=PKO)だ。
 日本政府は総合経済対策の1つとして、郵便貯金や簡易保険の資金運用について株式組み入れ制限を撤廃した。

 当時の日本政府の考えは、おそらく現在の中国政府も同様だが、当局が株価を押し上げることさえできれば、景気回復に伴って民間投資家も後に続くというものだ。
 日本株は公的資金の投入でいくらか回復したものの、ほどなくして下げに転じた。
 その後の日本と日本株が厳しい道をたどったのは周知の通りだ。

 現在の中国政府は間違いなく、1992年の日本政府や2008年のバーナンキFRB議長(当時)、2012年のドラギECB総裁に比べ、自分の領域内で強い力を持っている。

 これが、中国の資本市場のゆがみを一段と強めており、ほぼ間違いなく、最終的な代償はかなり高く付くことになるだろう。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



ロイター 2015年 07月 7日 17:20 JST Clyde Russell
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0PH08320150707

コラム:市場リスクの「主役」はギリシャから中国へ

[ローンセストン(オーストラリア) 6日 ロイター] -
 世界の金融市場にとって最大のリスクは何か。
★.ギリシャが債務不履行(デフォルト)の混乱の中でユーロ圏を離脱することだろうか。
★.それとも、中国政府が不安定な株式市場に資金を注ぎ込み続けることだろうか。

 恐らくはギリシャ問題の方が、特に先進各国では、ニュースに数多く取り上げられている。
 5日の国民投票で緊縮策が「拒否」されたことで、短期的には市場の不安定化がもたらされるだろう。

 それが最もはっきり表れたのは原油相場で、6日序盤には米原油先物CLc1が一時約4%、北海ブレント先物LCOc1が同1%超の下落となった。

 またギリシャのデフォルトとユーロ離脱の可能性が高まったことで、外国為替市場ではユーロが、世界の株式市場でも中国以外は大きく値を下げた。

 しかし、こうした相場の下落は相対的には緩やかなものにとどまった。
 それは多分、
 ギリシャが世界経済の0.25%、
 ユーロ圏の輸出全体の0.5%を占めるにすぎないことを反映している
のだろう。

★.ギリシャ政府債務の多くを持っているのは、国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)など多国籍公的機関であり、民間部門のエクスポージャーは小さい。

 つまり、ギリシャがデフォルトし、ユーロ圏から離脱したとしても、それによってギリシャ国民が苦痛を味わい、同国の公共サービス維持に何がしかの緊急援助が行われるにしても、世界の金融システム全体を揺るがす危機にはならないということだ。  

<中国の株安対策>

 世界の金融市場にとって格段に重要な意味を持つのは、中国当局による株式市場安定化への取り組みだ。

 中国株は過去3週間で主要株価指数が3割近く下落したが、週明け6日は上海総合指数.SSECが一時約8%急伸するなど反発した。

 相場反発の背景には、中国当局が週末に相次いで打ち出した異例の株安対策がある。

 中国の大手証券21社は4日、中国株式市場を下支えするため総額1200億元(193億ドル)相当の資金を株式投資に充てると発表。
 中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だという。

 また、4日に投資信託会社25社が株式市場に積極的に投資すると表明したのに続き、5日には69社が同様の方針を発表した。

 こうした一連の対策への当初の反応は、多かれ少なかれ当局の思惑通りになるだろう。
 しかし、より難しい問題は、果たしてそれで市場は安定するのかということだ。
 また、個人投資家がこうした対策への信頼を失い、売りを再開させるかもしれないことだ。

 リスクはどちらかと言えば、
 国内投資家がレバレッジの巻き戻しを加速させる方向に傾いている
ように見える。
 そうであれば、株式相場の上昇は長くは続かないだろう。

 市場の警戒感は、鉄筋と鉄鉱石の値動きからも見て取れる。
 上海先物取引所の鉄筋先物SRBcv1と大連商品取引所の鉄鉱石先物DCIOcv1はともに軟調だ。

 これらの相場下落の背景には、ギリシャ危機をめぐる懸念も少しはあるだろうが、それ以上に大きいのは、
 中国の投資家が経済の先行きを懐疑的に見ていることがある。

 上海取引所の銅先物SCFc3が6日序盤に約3%の下落となったことも、これを裏付けている。

<さらなる刺激策>

 全般的に見れば中国当局にはまだ、株式市場の信頼回復と経済成長率7%の目標達成に向け、金融政策と財政政策の面でやれることはまだありそうだ。

 しかし、それは同時に、中国が再び緩和マネーによる景気押し上げに頼るようになることを意味する。
 また緩和マネーのすべてが賢明に使われるわけではないため、良からぬインフラ投資や住宅投資のリスクも高まるだろう。

★.ギリシャ問題は過去数年に及ぶ危機に次ぐ危機の末、終局を迎えているように見える。
★.一方、中国が進める重工業・輸出主導型から消費主導型への経済モデル転換は、相対的には初期段階にある。

 中国政府の基本姿勢はこれまでのところ、景気が勢いを失った時は信用と流動性の拡大に走るというものであり、再び同じ道をたどろうとしているように見える。

 中国がギリシャから学べる教訓があるとすれば、根本的な問題は、いずれ対応しなくてはならなくなるということだ。
 そして、後になればなるほど、その痛みは増すということだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



毎日新聞 7月8日(水)11時27分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150708-00000026-mai-brf

<中国株>下落進み、3割が売買停止 企業が申請

 【北京・井出晋平】中国の上海、深センの両証券取引所は8日、200社を超える企業の株式の売買を停止した。
  中国の株式市場では、経営上の重大事項があることなどを理由に、上場企業が証券取引所に対して売買停止を申請できる。
 株価下落が進んだ6月下旬から、売買停止を申請する企業が増え、中国メディアによると、これまでに全上場企業の約3分の1にあたる1000社を超える企業の株取引が停止する異例の事態になっている。

 このところの株価急落で、多くの企業に対して株主から売買停止を求める声が高まっていた。
 株価の下落を避ける狙いがあるとみられ、中国の証券当局も容認している模様だ。

 8日の上海株式市場は、代表的な株価指数である上海総合指数が前日終値比8%超急落して取引が始まり、売りが優勢な展開となっている。

 上海市場の総合指数の終値は6月に2008年1月以来の高値となる5000を超え、1年間で約2.5倍に上昇した。
 その後、急速な株価上昇に対する警戒感から急落し、3週間で3割近く下落した。
 中国人民銀行(中央銀行)が6月末に追加利下げを実施したほか、証券当局が既存の株式の値下がりを招きやすい新規株式公開の抑制や、取引手数料の値下げなどの対策を相次いで発表。
 株価の下支えに躍起になっているが、下げ止まりの兆しは見えていない。

 中国の株式市場は、個人投資家が大多数を占めるとされ、株価の下落は個人消費を冷え込ませて、中国経済や世界経済に影響を与える恐れもある。



ロイター 2015年 07月 8日 18:56 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0PI0LM20150708

「異常事態」の中国株市場、商品や株式にグローバル投資家の売り

[東京 8日 ロイター] -
  中国リスクへの警戒感が市場に広がっている。
 上場銘柄の約半数が売買停止となる「異常事態」にグローバル投資家は、株式や商品などのポジションを手仕舞い始めた。
 実体経済への影響も懸念され、金利は低下、リスクオフの円買いも出ている。

 ギリシャの財政問題も混迷を極めており、市場の楽観ムードは大きく後退している。

<アジアに広がるリスクオフ>

 約半数の銘柄が売買停止となる異常事態となった。
 8日の中国株式市場の上海、深セン取引所では約1300社の企業が売買停止。
 全上場企業2808社のうち約45%が売買できない状況となっている。

 事前には「売ることができなければ、株価が下がることもない」(外資系証券)との楽観論もあったが、株安は止まらなかった。
 上海総合指数.SSECと滬深300指数.CSI300はともに一時8%下落。
 取引可能な株に売りが集中しただけで、抑止効果はほとんどなかった。

 予想に反し中国株が大きく下落して始まると、日本を含むアジアの市場は動揺。
 日経平均.N225は3%を超える下落となり、2万円大台を大きく割り込んだ。
 香港ハンセン指数.HSIは6%、台湾加権指数.TWIIも3%を超える下落となっている。
 株式などリスク資産のポジションを落とす動きが加速している。

 中国株式市場への外国人の直接の投資は制限されており、マネーフローでの連関性が高いわけではない。
 しかし、名目GDP(国内総生産)で世界2位(1000兆円超)に巨大化した経済国における株式市場の「異変」に投資家も警戒感を強めている。

 「中国株の下落はリスク量を増大させ、他市場でのグローバル投資家の利益確定売りにつながる。
 さらに株安が中国の実体経済に影響を与えれば、世界経済もただではすまない。
 影響は限定的と楽観視はできない」
と、アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏は話す。

<CTAやHFからの売り>

 実際、金属など商品市場では中国の景気減速に警戒感が強まり、価格が大きく下落。
 汎用性が高い金属で景気や需要に左右されやすい銅CMCU3は8日の市場でやや反発したが、前日に6年ぶり安値を付けた。
 原油など19商品の先物相場で構成されるトムソン・ロイター/コアコモディティーCRB指数.TRJCRBは7日の市場で3カ月ぶりの安値に下落している。

 「コモディティ商品の最大の買い手は中国。
 株安による実体経済への影響が明確に見えたわけではないが、リスク回避の動きが世界の投資家に広がっている」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)
という。

 前日7日の米ダウ.DJIが場中に切り返しプラス圏で引けたことで、安心感が広がりかけたが、止まらない中国株の下落に投資家心理も消沈したようだ。
 市場では
 「株式や商品にはCTA(商品投資顧問業者)や、マクロ系ヘッジファンドなどからの手仕舞い売りが目立っているようだ」(大手証券トレーダー)
との声が出ていた。

 ギリシャ問題の行方も不透明感が一層濃くなっており、マーケットにはリスクオフムードも広がってきた。
 円買いが強まり、ドル/円は一時122円割れ。
 金利も低下し、日本の10年債利回りは0.415%と2週間半ぶりの低水準をつけた。

<矢継ぎ早の対策が「火に油」>

 中国株が下落したこと自体を、市場関係者が驚いているわけではない。
 上海総合指数は年初から60%、昨年7月からは2.5倍という急上昇をみせてきた。
 その間、中国経済は減速感を強め、今年の成長率目標は7.0%と11年ぶりの低水準。
 景気に逆行して株価だけが上昇してきた一種の「バブル」であり、
 株価下落自体は健全な「調整」
ともいえる。

★.市場の警戒感を強めているのは、中国政府のあわてぶりだ。
 学習院大学・経済学部教授の渡邉真理子氏は
 「ファンダメンタルズからかい離したような株価の調整はある程度、想定されていたと思うが、矢継ぎ早に出てきた対策は、場当たり的な対策が中心だった。
 その裏には何があるのかと、逆にマーケットの不安をあおっている」
と話す。

 約半数の銘柄が売買停止となっただけではなく、口座や空売りの監視や、自己勘定での株買い支援や投資上限の引き上げなど、株安対策が連日発表されているが、株価は下落。
 むしろ油を注いでいるようだ。
 PER(株価収益率)などバリュエーション面では割高感も解消されつつあるが、実体経済に株安の影響が出てくれば、水準は切り下がらざるを得ないだろう。

 日経平均は年初から6月24日の高値まで20%上昇。
 それまで、ほとんど調整らしい調整はなく、今回の下落も「絶好の押し目買いのチャンス」(国内証券ストラテジスト)と強気な声も残っている。
 だが、日本にとって最大の輸出先であり、インバウンド消費を支える中国経済だけに、単なる「調整」とはかたづけられない不気味さもある。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)



ロイター 2015年 07月 8日 18:56 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0DN20150708/

中国株に恐慌センチメント、
小型株は売停で緊急避難

[上海 8日 ロイター] -
 中国株の下げが止まらない。
 規制当局は相次いで株価下支え策を打ち出しているが、市場では「恐慌センチメント」が広がっており、底が見えない状況だ。

 銘柄の売買停止が拡大するなか、中国人民銀行(中央銀行)は8日、株式市場の安定性確保に努める姿勢を示したうえでシステミックな金融リスクを回避すると表明した。

 上海と深センの大型株で構成されるCSI300指数.CSI300は264.965ポイント(6.75%)安の3663.038でこの日の取引を終えた。
 上海総合指数.SSECの終値は219.9325ポイント(5.90%)安の3507.1923。

 中国株式市場では6月中旬以降で時価総額の3割強が失われた。
 投資家の一部では、株安が中国の実体経済を不安定化させるとの懸念が出ており、ユーロ圏危機よりもリスクが大きいとみる向きもある。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストはノートで
 「調整の波及効果はまだ表れていない」
と指摘。
 「われわれは成長の減速、企業業績の悪化、金融危機リスクの高まりを見込んでいる」
とした。

 中国株式市場の上海、深セン取引所に上場している500社以上の企業が、8日の売買停止を発表した。

 これにより、売買が停止となったのは合わせて約1300社に上った。
 中国株式市場のおよそ45%が売停という異例の事態に発展した。

 小型株の多くが売停で緊急避難したことを受け、深セン証券取引所の新興企業向け市場の値動きを示す創業板(チャイネクスト)指数.CHINEXTCはこの日、0.8%安にとどまった。

 東北証券のアナリスト、杜長春氏は
 「当初は多くの投資家が優良銘柄を保有しようとしていたが、小型株の売買停止が相次いだため、リスクエクスポージャーを減らす唯一の手段は優良銘柄を売ることになった」
と述べた。

 新たな株価下支え措置は8日も発表されたが、目に見える効果はなかった。

 信用取引向け融資を手掛ける中国国営の中国証券金融は、株式市場の狼狽売りの状況を緩和するため、証券会社に十分な流動性を供給する。
 中国証券監督管理委員会(証監会)が明らかにした。

 証監会のトウ舸報道官は公式ブログの中で、株式市場では「非理性的な売り」が大幅に増加していると指摘した。

 中国保険監督管理委員会(保監会)は、保険会社の優良株への投資上限を引き上げたと表明。
 保険会社は、優良株1銘柄に対し従来は総資産の5%まで投資が認められていたが、保監会はこれを10%まで引き上げた。

 また、一定の資格を満たした保険会社に対して、優良株の購入を通じ株式資産の比率を30%から40%に引き上げることを認める。



現代ビジネス 2015年07月09日(木) 安達 誠司
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44093

ギリシャ問題よりもっと怖い!
「中国株バブルの崩壊」

■今回の中国の株価暴落は「異常事態」

 今週日曜日に実施されたギリシャの国民投票では、大方の予想に反して、EUの提示した緊縮策に反対する票が全体の6割超となった。
 これをきっかけに、週初から世界のマーケットは大きく荒れている。

 識者の話題は、「ギリシャがユーロから離脱するか否か」という点に集中している感があるが、筆者は、
 現時点では、ギリシャのユーロ離脱がユーロ崩壊へと波及していく可能性は極めて低く、ギリシャとEU諸国がどこかで妥協する
のではないかと考える。

 そのため、
 ギリシャ問題は、世界のマーケットにとって「ノイズ」に過ぎず、
 むしろ、
 中国株の下落が止まらなくなってきた点の方が、よほど「怖い」
のではないかと考えている。

 この1ヵ月(7月8日の午前中まで)の中国株(上海総合指数)のパフォーマンスは28.8%のマイナスである。
 当然だが、主要国の株式市場の中でも、過去1ヵ月の下落率は突出している。

 これを中国株バブルの崩壊」といってしまうのは簡単だが、
 株価のバブルは、過大評価された「成長期待」がもたらすというのがこれまでのパターンであったことを考えると、今回の中国の株価暴落は「異常事態」といえる。

 例えば、80年代後半の日本株バブルは、
 「日本が米国を抜いて世界ナンバーワンの経済大国になり、その首都である東京が新しい国際センターの座につく」
という期待がもたらしたものであった。

 また、2000年の米国のITバブルも、
 「IT革命によって、米国企業の生産性は飛躍的に上昇し、米国経済は新たな成長ステージに入る」
という期待がもたらしたものであった。

 さらにいえば、リーマンショックで崩壊した米国の住宅バブルも、
 「アメリカが、(移民などの)低所得者層も自分の家が持てるような新しい福祉大国になる」
という期待がもたらしたものであった。

 この点で、今回の中国株は、これまでのバブル崩壊とは様相が異なる。
 確かに、
 「中国はやがて米国を追い抜いて世界第1位の経済大国になる」
といった話はあったが、この期待はすでに2008年から2009年にかけての株価暴落によって剥落したはずである。

 そのため、筆者にとっては、暴落以前に、中国株の暴騰自体が説明不可能で、「不可解」な現象であった(これについては、5月28日付けの本コラム『「金融緩和の幻想」の中で進行する不可解な中国株の上昇』で言及した)。

■典型的な「バブル崩壊」パターンに入った中国株

 今回の暴落前の中国株の暴騰には、信用取引の「買い」が大きく関わっているといわれている。

 信用取引とは、証券会社に保証金を積み立てれば、証券会社(もしくは証券金融会社)から融資を受けられ、より多くの株式を購入できる仕組みである。

 将来、株価が上がることがわかっていれば、前もって価格が安い時に株式を購入して、上昇したところでそれを売却して利益を得ることができる。
 しかも、いくばくかの保証金を担保に多額の資金を借りて株式を購入できるので、手持ちの資金を大きく超えた売買でより大きな利益を得ることができるのだ。

 どういうことがきっかけになったのかはよくわからないが、例えば、海外投資家(いまは香港経由で中国株を売買できるようになっている)の買い(欧米の投資銀行の多くが中国株に対して積極的な買い推奨をしていた)が中国の個人投資家の買い意欲に火をつけ、これを信用取引が加速させたということだろう。

 すなわち、後からみれば、ファンダメンタルズ(基本的な経済環境)に基づく株価上昇ではなく、単なる「需給関係」で株価が上昇したに過ぎなかったのである(そのため、筆者は、前述のコラムで、マクロ経済環境をみると、中国株が上がる理由はないという点に言及した)。

 とにかく、中国株は典型的な「バブル崩壊」パターンに入ってしまったようだ。
 本稿を執筆している8日現在、中国本土の証券取引所に上場されている銘柄の43%にあたる1249銘柄が売買停止となっている模様だ。
 これは中国株の時価総額全体の33%以上であるらしい(8日10時39分のブルームバークの報道による)。

 ところで、中国経済は今年に入ってから悪化の一途をたどっている。
 5月の輸入総額は前年比-17.6%で、5ヵ月連続で2桁台の減少となっている。
 鉄道の貨物輸送量も5月は前年比-11.5%(昨年1月以降、17ヵ月連続の減少)、電力消費量も前年比+1.8%と伸び率はプラスながらも低い数字となっている。

 特に、貿易相手国の側から把握可能でごまかしがきかない貿易統計(輸入金額)の悪化は、中国経済の実状を如実に物語っている。

 さらに深刻なのは、信用収縮である。
 5月の社会融資総量は前年比-12.9%で、信用収縮も一段と強まっている。

 中国政府の統制が効いている銀行融資の方は、残高が前年比+14.3%と安定しているが、
★.社会融資総量全体が大きく減少しているということは、
 中国の「シャドーバンキング」のシステムが崩壊の危機に瀕している
ことを意味している。
 金融当局は金融緩和を強化しているが、加速度的な信用収縮に緩和が追いつかない状況である。

 また、国際収支統計をみると、従来とは異なる大きな変化がみてとれる。
 それは、昨年4-6月期以降、資本収支が赤字に転じ、その赤字幅が拡大している点である。

 従来、中国の国際収支は、輸出増による経常収支黒字に加え、資本収支も黒字であった。
 経常収支黒字国の多くは、資本収支赤字国になっており、それで国際収支がバランスしているが、中国の場合、経常収支と資本収支がともに黒字であった。
 そして、これをバランスさせていたのが、外貨準備の増加(政府による海外投資増)であった。

 だが、最近は、資本収支が赤字に転じ、外貨準備が減少に転じている(外貨準備は3月時点で、ピーク比7%弱の減少となっている)。

資本収支の内訳をみると、「その他」の部分の赤字が急増しており、中国の富裕層(共産党幹部)が、資金を海外へ逃避させ始めた可能性が高い(もしくは、海外の不動産等を購入しているのかもしれない)。

 以上を総合すると、暴落前の上昇局面で信用取引を拡大させていたのは、一般庶民の可能性が高い。

 となると、
★.マクロ経済的には、今後、中国の消費が急激に減速していく懸念が出てくる。
 そして、これが、現在進行中の中国経済の構造調整(高度成長から安定成長への)を加速させる可能性がある。

 現在、中国の実質GDP成長率は前年比で7%程度である。
 日本等の先例を勘案すると、
 安定成長下での実質成長率は4~5%程度
と想定されるが、
 7%」の成長率は、安定成長への移行期としては、ソフトランディングといってよい状態
であった。
 しかし今回の株価暴落は、このソフトランディングをハードランディングへ変えてしまう懸念もある。

 この中国株暴落の世界経済への影響だが、実体経済的には、ソフトランディングの状況でも、すでに中国を中心とする製造業のサプライチェーンを展開する東南アジア諸国の輸出は減速しつつある。
 中国経済のハードランディングが実現すれば、東南アジア諸国の景気も悪化していくだろう。

 中国がこの苦境を乗り切るためには、大胆な金融緩和で、信用収縮に歯止めをかけるしかないが、この場合の金融緩和は、利下げや預金準備率引き下げではなく、量的緩和になるかもしれない。

 そうなると、人民元レートが大きく下落する事態が想定される(その場合には、中国は米国と為替レートの低め誘導についての協議を行う可能性がある)。
 さらに、そのような状況では、マーケットは、いわゆる「リスクオフ」モードに入っているので、円高が加速する懸念もある。

■今後、注目すべきは米国株とFRBの動き

 このように、中国株の暴落は、世界のマーケットに、単なる調整では済まされない大変動をもたらす可能性がある。

 今後、注意すべき点は、この中国株の暴落が、米国株の下落に波及するか否かである。
 もし、米国株の下落へ波及すれば、FRBの利上げは先送りされる可能性がある。
 そればかりか、場合によっては、マネタリーベースが再拡大する可能性もあると考える。

 一方、米国株が中国株暴落に影響を受けない場合、FRBは少なくとも年内に1回は利上げを実施するだろう。
 この場合、「流動性収縮」懸念の台頭によって、新興国の株価は下落幅を拡大させるリスクが出てくる。
 そして、新興国の株安は、新興国経済のさらなる成長鈍化へとつながり、それが輸出鈍化という形で日本経済にも波及する可能性がでてくる。

 悲観シナリオを考え始めるとキリがないが、以上のような意味からも、中国株の暴落はギリシャ問題よりも怖いのである。



サーチナニュース 2015/07/10(金) 11:24
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0710&f=business_0710_033.shtml

中国がバブル崩壊したら世界恐慌になる?=為替王

Q:中国のバブルが崩壊したら、世界経済は恐慌を迎えるリスクがありますか?
A:上昇し続けていた中国株は、6月15日前後を境に、急落に転じました。
  ただ当初は日米など主要先進国の株価は、あまり中国株急落の影響を受けることなく、ほぼ平常どおりの値動きでした。

Q:日米の株価が、中国株急落の影響を受けなかったのは、なぜですか?
A:グローバルな機関投資家やヘッジファンドなどは、複数の主要国に投資しているため、近年は連鎖的な株安(または株高)が生じやすくなっています。
 しかし、中国だけは異質で、外国人投資家を制限しており、大部分は中国内の個人投資家によって売買されています。
 そのため中国で株価が暴落しても、直接的には日米などの株式市場が影響を受けるわけではありません。

Q:でも今月は、「中国株暴落の影響により、日米の株価も急落」とのニュースが目につきます。
A:ギリシャ危機で不安要因が高まっていた状況に加えて、今回の中国株の暴落が、一部の個人投資家の損失にとどまらず、
 中国の実体経済にも悪影響が出始めるのではないかとの懸念が背景にあります。

Q:中国のバブル崩壊が、世界恐慌につながるリスクがありますか?
A:現時点でそこまで影響力があるとは思えません。
 ただ、中国の高度経済成長はすでに鈍化していますから、今回、
 中国株バブル崩壊により、個人や企業が痛手を受けて、
 さらに中国の景気が減速するようなことになれば、まず、中国と貿易関係の深い、欧州やオーストラリアの経済が打撃を受けるでしょう。
 その悪影響が米国や日本にも波及するシナリオは想定されます。

Q:リーマンショックの時みたいに、日本株も大暴落したりしませんか?
A:リーマンショックでは米国の金融機関の負債が世界に拡散されていたため、リーマン破綻の影響は世界の金融機関・投資家を直撃して、結果的に、日本株も暴落しました。
 一方、中国の株・不動産・金融機関などの負債は主に中国の国内の話なので、世界とはあまりリンクしていません
 よって直接的に日米の株価の暴落につながることは考えにくいです。
 ただ、上述のように実体経済 は関わりがありますので、間接的に悪影響が波及するシナリオは考えられるかもしれません。





●【中国1分間】中国株式市場のバブル間もなく崩壊?20150618
2015/06/18 に公開
【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/【新唐人2015年06月17日】


●「中国株バブル崩壊は時間の問題」=クレディ・スイス専門家 20150621 Ruixin
2015/06/23 に公開
【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/【新唐人2015年06月21日】高騰を続けていた中国株は、先週末、急落しました。­これについて、クレディ・スイスのアナリストは、中国株のバブル崩壊は時間の問題だと­述べました。




中国の盛流と陰り



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